米国株、日本株、イギリス株、ドイツ株の個別銘柄フォローアップ

先週の記事で久々に個別株を紹介したのでフォローしておこう。ここ数ヶ月個別銘柄を扱わなかったのは、相場全体が荒れており、個別株の上下よりも相場全体の上下を予想しなければ意味がない相場となっているからであるが、それでもポートフォリオに良い銘柄を組み込んでおくことは重要である。

では前回紹介した銘柄を順番に見てゆこう。先ず大成功であったのは、以前から紹介していた米国のタンカー運営会社Teekay Tankersである。

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前回の記事で$6.87であったものが$7.73まで上がった。上げ幅は12.52%である。これが大成功であると言えるのは、8月末の世界同時株安より前に紹介した記事の時点から比べても上昇しているからである。

この記事の当時、株価は$7.39だったものが$7.73まで上がった一方で、その間にS&P 500は2,126から1,996まで下げている。

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ここでは以前より個別株の買いと指数の空売りを推奨しており、そういう両建てをする場面では指数よりも強い銘柄を見つけることが重要なのである。

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もう一つ成功であったのは東京証券取引所ビルなどを保有する平和不動産である。前回の記事で1,278円だったものが一時1,384円まで上昇した。8.29%の上昇となる。日経平均構成銘柄から外れ、指数連動型ETFの運営会社などの売りに遭っていたところを拾ったものである。

これまでも書いてきた通り、消費増税のため日本の不動産全般にはやや弱気であるが、安いものは買うということである。また、日銀の量的緩和は長らく終わらないと予想しているため、緩和の恩恵を受ける銘柄はある程度ポートフォリオに加えておく必要がある。

結局はやはりポートフォリオ全体の問題となってくるわけである。

ロンドン証券取引所に上場するハンガリーの格安航空会社Wizz Air (LSE:WIZZ、Google Finance)は上昇トレンドを維持してはいるが、原油価格の急反発を受け昨日本日と売られている。

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航空株は世界的に売られている印象であるが、短期的な動きがどうあれ、暴落した原油価格が昨年のレベルまで戻らないということは変わらないのである。

また、原油価格のポートフォリオへの影響はポートフォリオ全体で調整するべきであり、個別株単位で考えるべきものではない。航空株を持ちすぎたならば、原油高に恩恵を受けるポジションをその分増やす必要がある。

現在の相場では特にこういった配慮が必要であることもあり、個別銘柄については当分書いてこなかったのだが、Wizz Airは銘柄自体は非常に優れており、P/E(株価収益率)はいまだ7台、年間売上上昇率は21%である。原油反発リスクについては以下の記事に少し書いたばかりであった。

ロジャーズ氏の短期的な予測が当たるというのはやや珍しいことである。

残り2銘柄はやや上昇

フランクフルト国際空港を保有するFraport (XETRA:FRA、Google Finance)とGilead Sciences (NASDAQ:GILD、Google Finance)は1-3%ほどの上昇となった。Fraportはユーロ圏の低金利継続に賭けるのであればポートフォリオに加えておくべき銘柄ということであり、この点では平和不動産と同じ扱いである。

また、紹介時に書いた通り米国のバイオ株急落に巻き込まれているGilead Sciencesは、ほとぼりが覚めるまで上値が抑えられる可能性がある。その間に安値を拾っておくということである。

米国では製薬会社の決める薬価が高すぎているのではないかということがニュースになっており、大統領選候補のクリントン氏などが対策に乗り出すなどとリップ・サービスをしているが、ただのリップ・サービスであり、薬価といえど需給で決定される価格を規制で大幅に歪めることはできないものである。個別銘柄としてもGilead SciencesのP/Eは10台であり、バブルとなっていたその他のバイオ株とは一線を画している。

米国株全体の相場観

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米国株全体としてはやや反発しており、債券投資家ビル・グロス氏の思惑通りの展開となっている。最近の彼の予言には神がかったものがある。

上がった場面で空売りを入れるのか、あるいは彼の言うようにコール・オプションの売りとするべきなのかは難しいところである。この点についても機会があれば書いてみたいと思う。