ポンドとユーロは適正水準まで上昇、円は長期下落トレンド、よってドル買い

先ず特筆すべきはポンドの上昇だろう。スコットランドの独立投票からイギリス経済への不安が表出し、1ポンド1.7ドルと割高で取引されていたポンドが調整に入ったのは2014年の夏の話だが、2015年の3月に1.4ドル台に入った時点でポンドの保有を推奨した。

その後イギリスは選挙を迎え、経済界寄りの保守党が過半数を得たことでイギリス経済への信頼が回復、ポンドドルは4月の底値である1.45から1.57まで上昇した。

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上記の記事で書いたように、マネタリーベースや経済成長率などで考えれば、ポンドドルは1.55辺りが適正レートであり、これに加えて将来の利上げをも考慮しなければならないから、米国の利上げが今年、英国の利上げが来年と想定されている現状では、1.55よりも低いレートで取引されるべきであり、現在の1.57という水準はポンド割高ということになるだろう。

個人的には、3月から4月にかけて急遽買い増したポンドの大半を手仕舞いした。また安くなれば、また買うだろう。しかしとりあえずは様子見である。

もう一つ注目すべきはユーロ空売りの巻き戻しであり、一時1.04であったユーロドルは1.13まで回復している。ユーロに関する見通しは以下の通りである。

マネタリーベースで見た適正水準は1.15程度であるから、現在の水準からは売りとも買いとも言うことができない。ユーロの上昇はドイツ国債の利回り上昇によるものであり、利回り上昇はドイツの物価上昇によるものだが、物価が上昇すれば失業率が上昇せずとも量的緩和を辞めるのかということについては、明確な発言が出ておらず、当局の動向に注目する必要がある。

更に、円はマネタリーベースで見ても長期トレンドで見てもやや割安であり、金の買い場はもう少し後である。

ということで、ポンドが上昇してしまった以上、持つべき通貨は再びドルである。ドル高にはリスクがあることは散々述べてきたが、それでも他に良い通貨がなければ致し方無い。

2015年の相場、とりわけ為替相場は難しいが、利上げまでの辛抱だろう。米国は順当に利上げをする可能性が高い。日本とユーロ圏が緩和をしている間が、金融引き締めの最後のチャンスだからである。