債権団がギリシャへの最後の要求を公開: ギリシャは恐らくデフォルトを選択する

ギリシャが債権団への服従かデフォルトかを決める7月5日の国民投票を控え、状況は荒れている。6月28日、欧州委員会は、交渉決裂前にギリシャに提示していた、支援継続のための条件を開示(英語)した。

本稿では主要部分を翻訳して以下に記したが、こんなものを受け入れればギリシャは本当に死んでしまう。

しかも前文には「透明性とギリシャ国民への情報提供のために」と書かれている。国民投票の判断材料としてこれを公開したということは、彼らは本気でこれが寛大な条件だと考えているということである。

ともかく、内容は以下の通りである。主要部分であり、全文ではないことを記しておく。

総論

2015年から2018年にかけて、基礎的財政収支を一年ごとにGDP比1%、2%、3%、3.5%の黒字にする。

消費税改革

現状では特定品目への減税が儲けられている消費税を一律23%とする。引き上げられる項目には、外食とケータリング、現状13%の日用食品、エネルギー、ホテル、水、現状6%の薬品、本、劇場、例外の適用されている保険、観光業のための島部への減税適用が含まれる。

財政

法人税を26%から28%へ引き上げる。

不動産税による税収が26.5億ユーロになるように不動産税を調整する。

国防費を4億ユーロ削減する。

所得税における農民への優遇を取りやめる。農民の定義を狭めるなど、脱税の可能性を狭める。農民へのディーゼルオイルのための補助金を廃止する。

年金

2022年までに年金支払い開始年齢を67歳(40年の年金支払い実績がある場合は62歳)とする。

早期退職者にペナルティを課すなど、早期退職へのネガティブ・インセンティブを創出する。

労働市場

最低賃金や解雇条件など、労働者の条件を決めるための枠組みの再考について協議を開始する。欧州委員会、ECB(欧州中央銀行)、IMFの許可なしに、既存の枠組みの変更を行ってはならない。

民営化

ギリシャの国営ファンドであるHRDAFは、ピレウス港、テッサロニキ港、ヘリニコン港などを含む、2014年末時点のすべての資産を民営化する。


以上である。国民投票では、ギリシャ国民は恐らくデフォルトを選択する。個人的な意見はこれまでの記事に何度も書いたので、著名投資家ビル・グロス氏のTwitterコメントをもう一度引用するだけに留めておく。

緊縮財政は債務危機を未然に防ぐものであって、既に起こってしまった危機を解決するものではない。誰かメルケルに教えてやれ。

国民投票までに債権団が譲歩を行わなければ、ユーロ圏は終わりだ。