ハイテク株や日本株が上昇している理由

米国株は相変わらず上り調子だが、株式市場の中でもローテーションはある。今回は以前より着目しているハイテク株の様子をレビューしてみたい。

ハイテク株とインフレ

アメリカのハイテク株はコロナ相場初期に高騰したことは読者の記憶にも残っているだろう。しかしその後、最初に上がりすぎたこともあって横ばいが続いていた。

アメリカでは現金給付などの景気刺激策でインフレが始まっていることもハイテク株には悪影響となっていた。インフレとは将来のドルの価値を減価するものなので、将来のリターンに株価が依存している高成長株とは相性が悪いのである。

しかし以前から説明しているように、2021年後半のテーマは短期的デフレである。

現金給付などの短期的インフレ効果が剥落してゆくことによって、インフレ率は少なくとも短期的にはピークアウトする。長期的なインフレトレンドが実際どのようなものかについては短期要因が剥落した後に明らかになるが、それまではインフレ期待の高まりも一旦収まるということである。

短期デフレ相場における銘柄選び

インフレ相場における投資家の選択肢は、ゴールドより銅、高成長株より低成長株、ということだった。インフレが高まれば利上げやテーパリング(量的緩和縮小)が行われる。ゴールドとテーパリングの関係については以下の記事で書いている。

一方で、現在の短期デフレ相場ではそのトレンドが一時逆転するということも説明しておいた。結果、金価格は下落トレンドを一時中断している。

では株式市場はどうだろうか。短期デフレ相場における銘柄選びについては以下の記事で説明している。

インフレで売られたハイテク株が短期デフレ相場で買われるというわけである。この記事ではそうした短期デフレ相場について以下のように書いたことを思い出したい。

3月に行われた3度目の現金給付の影響などの短期要因は今後数ヶ月かけて更に剥落してゆくだろう。だからこのディスインフレ相場は数ヶ月ほど続く可能性が高い。

そしてハイテク株はどうなったか? 以下のチャートはGoogleの親会社Alphabetの株価である。

Alphabetは元々調子が良いのでトレンドが分からないが、巣ごもり銘柄の筆頭でその後不調だったNetflixも息を吹き返した。

決算後急落したAmazon.comも8月後半には反発を始めている。

Amazon.comはジョージ・ソロス氏やスタンレー・ドラッケンミラー氏が買っていた銘柄である。

そしてハイテク株ではないが、日本株もここ数日息を吹き返している。これも首相交代というよりはデフレ相場を受けたものだろう。日本株は世界の金融市場ではリスク資産と見なされており、アメリカのテーパリングの影響を受ける。

そして最後に暗号通貨にも言及しておきたい。暗号通貨も現在のデフレ相場の恩恵を受けていると言うべきだろう。テーパリングで価格が下落するのはゴールドと同じだからである。

しかし筆者はビットコインよりもイーサリウムを推していることはもう一度繰り返しておきたい。

結論

繰り返しになるが、こうしたデフレ相場は数ヶ月間続くことになる。Fed(連邦準備制度)内のタカ派がテーパリングを強行するシナリオには注意しておかなければならないが、その可能性については以下の記事で書いているので参考にしてもらいたい。

とりあえずはこうしたトレードで稼いでおくのが良いだろう。一方で、この短期デフレ相場を超えた先のシナリオについては前回の記事に書いている。そこから先は本物のマクロトレードなのである。