サマーズ氏: エネルギー価格を高騰させる脱炭素政策は健全ではない

引き続きBloombergによる経済学者ラリー・サマーズ氏のインタビューである。今回は気候変動とエネルギー価格高騰に関する部分を紹介したい。

エネルギー価格の高騰

サマーズ氏は次のように始める。

現在エネルギー価格が急上昇しており、このエネルギー価格の急上昇は世界でもっとも貧しい人々に与える被害を含め、様々な害を生んでいるのを憂慮している。

何故エネルギー価格が上がっているのか? これはヨーロッパのリベラル派やアメリカのバイデン政権が推し進めた、いわゆる脱炭素政策によるものである。

地球温暖化は人間の活動から生じているという考え方から、彼らは原油や天然ガスなど化石燃料の採掘に制限を掛け、いわゆる再生可能エネルギーにシフトするように人々を誘導しようとした。

しかし実際にはどうなったかと言えば、採掘量に制限がかかったために化石燃料が足りなくなり、原油や天然ガスの価格が高騰し人々が困っている。原油価格は次のように推移している。

天然ガスにいたっては半年前から倍になっている。

これはアメリカの天然ガス価格だが、自身が世界最大級の産出国であるアメリカとは違い、輸入に頼るヨーロッパではそれ以上に上がっている。それで電力価格が高騰し社会問題となっているのである。

脱炭素政策による電力価格高騰

この状況についてサマーズ氏は次のように述べている。

化石燃料への資金の流れを政策によって強制的に停止するという考え一般にはかなり懸念がある。化石燃料への供給を止めるのではなく、需要を減らすよう努力するべきだろう。そういったやり方は健全ではない。

火力発電を否定していわゆる再生可能エネルギーだけでやろうとした時点で電力不足は見えていた。ヨーロッパで脱炭素政策を特に推進しているのは「緑の党」が世論調査で首位に立ったこともあるドイツであり、ドイツは原子力発電も否定しているのでもう本当にどうにもならない。

これは日本にとっても対岸の火事ではない。自民党の菅氏や小泉氏が同じようなことを推進しようとしたのであり、アメリカのような産油国ではない日本が本当に同じことをしようとすれば、ヨーロッパと同じことがすぐに日本でも起こるだろう。

こう言うのは申し訳ないが、本当にリベラル派の人々はろくなことを考えない。彼らが政治的であることを止めれば世界は平和になるだろう。

ちなみに不動産バブル崩壊が懸念されている中国では電力不足ももっと深刻であり何度も停電が起こっているが、歴史的にも様々なものを発明してきた中国人はこの状況においても発電所に頼らない画期的な解決法を発見した。

電力価格高騰で苦しむヨーロッパの人々も、方針を転換しなければいずれ中国に続くことになるだろう。そして日本も例外ではない。「気候変動のための政党」さえ誕生し、「気候変動のために食肉を減らす」「気候変動のために中央銀行は動くべき」と主張するヨーロッパ人の異常さに日本人は早く気付くべきである。