2018年の世界同時株安では何から順番に暴落したかを振り返る

アメリカで物価高騰が止まらず、Fed(連邦準備制度)はインフレを抑えるまで急速な利上げを余儀なくされている。

だがインフレが止まるより先に株価が利上げに耐えられず暴落することはもはや既定路線だということは、これまで述べてきた通りである。

しかし株価暴落と言ってもすべてのものが同時に暴落を始めるわけではないということをここでは繰り返している。一般的に高リスクの資産から先に下落を開始し、米国株の主要銘柄は最後まで下落しないことが多い。

そこでこの記事では2018年の相場が実際にどのようなチャートになっていたか、もう一度確認してみたいと思う。

米国株の値動き

まずは基準となる米国株価指数S&P 500のチャートから掲載しよう。これが世界の株式市場の中心であり、メインのチャートである。

当時、下落は2回あった。1月に始まった下落では最後まで落ちきらず、一度株価は回復したが、10月に2度目の下落があり今度は最後まで行った。

S&P 500は米国の主要株価指数であり、主に大型株で構成される。これを米国の小型株指数であるRussell 2000の値動きと比べてみよう。

1月の下落から一度回復しているところまでは同じである。しかしよく見て欲しいのだが、2回目の下落の開始は10月ではなく1ヶ月早い9月となっている。

覚えている読者もいるだろうが、筆者は当時このRussell 2000(小型株)の動きに着目して、S&P 500(大型株)の下落のタイミングを予想した。

1ヶ月の時間差は投資家に逃げるチャンスを与えてくれるわけである。逆に言えば空売りをする投資家にとっては先に空売りするべきは小型株だということになる。それで以下の記事ではRussell 2000を空売り対象に入れてある。

では、この記事で同じく空売り対象に入れたジャンク債はどうだろうか。ジャンク債ETFのチャートは次のようになっている。

2018年は秋になるのを待たずに一貫して下落となっている。ジャンク債には利回りがあるので実際のパフォーマンスはこれよりも上向きだが、それでも秋まで上がり続けた大型株を空売りするよりはよほど安全な空売り対象だろう。空売り開始が多少早くともそれほど損をしないからである。

日本株と欧州株

米国市場は以上である。では日本と欧州はどうだろうか。まずは日経平均のチャートを掲載しよう。

9月の最後の一噴きがなければ2018年を通して下落というところだろうか。不自然な噴き上がりであり、それ自体がバブルの終わりを象徴していたのだが、金融市場にはこういう動きがあるものである。騙されてそこで空売りを手仕舞った人は災難だっただろう。

当時、筆者は淡々と空売りを続けていた。

重要なのは大局を見失わないことである。そうでなければ短期的な値動きに惑わされてしまう。

一方でドイツの株価指数であるDAXは、日経平均の最後の一噴きがないバージョンのようになっている。

年間通しての下落である。空売りしていても安心だろう。これらの値動きから学べることは、バブル崩壊前に下落する指数は複数に分散して空売りしておくと、短期的なイレギュラーに左右されずに利益を上げられるということだろうか。当時の日経平均のような値動きが別のケースでは他の銘柄に起きないとも限らない。

結論

この記事は以下の記事の補足である。

バブル崩壊前夜には金融市場は実際にどういう値動きをするのかは、このように具体例を見ながらの方が理解しやすいだろう。これを踏まえて上記の記事を読んでもらいたい。

というか、ここ数日の間に金融市場の値動きが2018年の状況に似てきたのではないか。Russell 2000の現在のチャートなどかなりまずい気がするのだがどうだろうか。