ジョージ・ソロス氏、ドナルド・トランプ氏と会った時のことを語る

引き続き、ドイツの週刊ビジネス誌Wirtschaftsによるジョージ・ソロス氏のインタビュー(原文ドイツ語)の翻訳である。長いインタビューなので、複数記事に分割して報じている。今回はアメリカ大統領選に出馬しているドナルド・トランプ氏の話題である。

トランプ氏は移民排斥に強い姿勢を示していることで有名だが、これはオープンな社会を望むソロス氏の政治的態度とは真逆であり、彼はしばしばトランプ氏を強く批判している。インタビューでは記者がソロス氏に次のように質問した。

あなたとドナルド・トランプ氏は共にニューヨークに住む億万長者ですが、彼に会ったことはありますか?

ソロス氏はこう答えている。

何年も前のことだが、トランプ氏がわたしに彼の所有する高層ビルのテナントにならないかと持ちかけてきたことがある。その時は「わたしにはそれを支払うだけのお金がないよ」とだけ答えた。

彼はジョージ・ブッシュよりも危険な人物だ。ブッシュ氏は世界貿易センタービルのテロの後、モスクを訪れ、アメリカはイスラム教と戦争をしているのではないとの意思を明確にしたが、トランプ氏はイスラム教徒のアメリカ入国を禁止しようとしている。

ソロス氏に「支払うだけのお金がない(kann nicht leisten)」というのは面白い冗談だが、彼はその頃からトランプ氏のことが好きではなかったのかもしれない。そろそろ大統領選も近づいてきた。トランプ氏かヒラリー氏か、投資家もそろそろ考え始めなければならない時期だろう。