欧州は分裂するのか?: 欧州議会選挙後の各国の政治動向

欧州議会選挙のあと、EUが各国に課してきた緊縮財政、低インフレ政策への反発が増し、スペインやポルトガルでは早速雇用創出や減税などへの動きがロイターで報じられている。

とりわけスペインは動きが早く、63億ユーロの雇用創出案と法人税の減税を来週承認する予定である。南欧に資金をシフトした投資家は報われることになりそうだ。選挙の結果も含め、欧州議会選挙後の各国の動向を下記にまとめる。

スペイン

  • 63億ユーロの雇用創出案を来週にも承認へ
  • 法人税を30%から25%へ引き下げを予定
  • ラホイ首相「家計にお金を回し、消費を増加させ、経済全体の競争力を上げ、貯蓄を増やし、雇用創出に貢献するということだ」

ポルトガル

  • 公共部門の給与削減などの2014年予算案の緊縮規定を最高裁が否定、財政赤字を7億ユーロ押し上げ

イタリア

  • ドイツの緊縮策に抵抗するレンツィ首相の民主党が第一党を維持
  • パドアン経済大臣「デフレはユーロ圏、特に高債務国にとって大災害となる。当局は低インフレを抑止する案を行うべき」

フランス

  • 反移民、反EU、保護主義の「国民戦線」が第一党へ
  • オランド大統領「選挙結果はEUへの不信任、EUは成長、雇用重視に方向転換すべき」

イギリス

  • EU離脱、反移民の英国独立党が議席トップへ
  • キャメロン首相「現在のEUの政策を体現するユンケル氏が欧州委員長となった場合、イギリスがEUに留まることを保証できない」

EUから緊縮財政を押し付けられた各国の反発はかなり強いものと思われ、EUの分裂や加盟国のユーロ圏離脱なども可能性として懸念されるが、選挙結果が欧州を経済成長へと導くのか、分裂させる結果に終わるのかは、ドイツの反応次第である。南欧諸国の財政の補填を押し付けられたことに対するドイツ国民の反発も高まっている。

ドイツ

  • 反ユーロ政党「ドイツのための選択肢」が議席を伸ばすも、メルケル首相のキリスト教民主同盟が第一党を維持
  • メルケル首相「EUは雇用創出に注力すべき」

反ユーロ政党である「ドイツのための選択肢」は、しかしながら反EU政党ではなく、メルケル首相への支持も揺らいでいない。ドイツ国民は税金が他国のために使われる現状に耐えながらも、一番理性的な判断をしているように思われる。南欧諸国は今後、ますます反緊縮に向けて動き出すだろう。欧州が崩壊することなく経済成長へと進めるのか、ドイツ国民の今後の反応が注目される。