ガンドラック氏: アメリカのインフレ率は9%台まで上昇へ

DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏が、0.75%利上げのあったFOMC会合後にCNBCのインタビューでアメリカの物価高騰について語っている。

FOMCへの反応

Fed(連邦準備制度)の行なったFOMC会合については以下の記事で報じている。

これに対するガンドラック氏の反応だが、まずガンドラック氏はFOMC会合の前日に次のようにツイートしていた。

私の意見では、Fedは明日金利を3%に上げるべきだ。

これは勿論有り得ないと分かった上での発言だ。実際には金利は1.5%まで上がった。

そして会合後には次のようにツイートした。

パウエル氏は今日、最大の目標は失業率を最小化しながらインフレを2%まで下落させることだと言った。

目標だけでなく手段も聞きたいものだ。

明らかにそれは無理だと言っているのである。失業率が上がらなければ労働市場の過熱は止まらず、賃金インフレが止まらなければサービスのインフレは止まらない。経済学者ラリー・サマーズ氏も同じことを言っていた。

金利上昇は続くか

インフレは止まらず、金利は上昇し、結果として株式市場は暴落している。

一方で、ガンドラック氏は結局金利はインフレ次第だと考えている。彼は元々インフレはピークに達したと言っていたが、5月のインフレ率が予想を上回ったことで考えを変えたようだ。

ガンドラック氏は今回のインタビューではインフレについて次のように話している。

2年物国債の金利は更に上がるだろう。ここから先、インフレ率の数字は好ましくなくなってゆくからだ。

そしてそれは、ガンドラック氏がインフレ率が一時的に下がると考えた理由と同じ理由によるものである。

ガンドラック氏は、前年の同じ月と比べて消費者物価指数がどれだけ上がったかを考える前年同月比のデータについて、2021年の4月から6月の数字が強いことを根拠に今年の数字は弱く出ると考えた。

それは根拠あることであり、4月の数字はそうなった。しかし5月は予想を上回る数字となった。インフレは誰もが思うより力強かったのである。

結果として、前年が強かった月はもう6月しか残っていない。ガンドラック氏はこう続ける。

次に発表される月(6月)は、前年の数字が高かったため、インフレ率の数字は今とそれほど変わらないだろうが、その後は前年に低い数字が続いている。

4月から6月がインフレ率の数字が弱く出やすい素地があったのと同じ理由で、7月以降は高い数字が出やすいということになる。

ガンドラック氏はこう結論付ける。

だからインフレ率は今年中に前年同月比で9%に達する可能性がある。

結論

Fedの利上げはインフレを解決することが出来るだろうか? ガンドラック氏は3%まで利上げしなかった中央銀行の態度を次のように評価する。

彼らは理想の状況をまず自分の予想とし、そうならなかった場合にはその時に動くと言っている。それは世間では柔軟さと呼ばれている。わたしはそれを願望と呼ぶ。

インフレはまだまだ止まらないようだ。それはつまり、株価を暴落させている金融引き締めが止まらないことを意味する。したがって、株価の暴落はまだ終わらないのである。

ここの読者には周知の通り、ここでは年始からこの状況を予想していた。

株安の底がいつかという点については、以下の記事でインフレ率の推移を考えながら説明している。

あるいは以下の記事においてはボラティリティ指数を利用しながら底を予想している。

どちらの観点からも似たような下落幅が出ている。まあ恐らくそうなるだろう。