ガントラック氏: 世界同時株安はまだ下落余地がある

トランプ相場の株高予想を的中させ、更に2018年の株価下落も予想していた債券ファンドマネージャーのジェフリー・ガントラック氏が、2018年10月から始まる世界同時株安にまだ下落余地があると主張している。Reuters(原文英語)などが報じている。

世界同時株安は今後どうなるか

ガントラック氏はここ数年で一番予想を当てている著名投資家である。2016年にトランプ氏が大統領に選ばれた後の上げ相場をいち早く予想した他、2018年の相場についても見事に的中させている。

そのガントラック氏が今回の世界同時株安について語っているので、そのコメントを紹介したい。ガントラック氏は次のように指摘している。

株式市場は下落はしているが、パニックのようなものは見られない。つまり、もっと下落余地があるということだ。

株価が下落しているのに、ボラティリティ・インデックス(訳注:価格の上下動の激しさを示す指標)がまだ低いことには驚かされる。

どういうことか? 先ず、一般的には下落相場になると投資家がパニックになり、相場の振れ幅が大きくなる(ボラティリティが上昇する)のが普通である。今回の急落でもそうなってはいるが、ボラティリティ・インデックスの上昇はそれほどでもないとガントラック氏は指摘しているのである。

実際にチャートを見てみよう。先ずは年始からの米国株のチャートである。

そして次がボラティリティ・インデックスのチャートである。

ボラティリティは確かに上昇してはいるが、2月の下落相場に比べると低い位置にあると言える。

通常、ボラティリティの高まりは投資家がパニックに陥っていることを示す。市場がパニックに陥って株価が下落しているのであれば、パニックが収まれば株価は戻るかもしれない。しかし今回の下落はそういう種類の下落相場ではないとガントラック氏は指摘しているのである。

ビットコイン価格が世界同時株安の先行きを予想する

また、ガントラック氏はビットコイン相場と世界同時株安の関係についても言及している。世界同時株安の最中、ビットコイン価格が暴落していることは少し前に報じた。

そしてこの記事では、ガントラック氏が以前、ビットコイン価格の下落が株価の下落に先行する状況が続いており、ビットコイン価格を見れば株価の先行きが分かると主張していたことを指摘したが、ガントラック氏はやはり今回の報道でもこの相関関係に言及している。彼は次のように述べている。

ビットコインは過剰な資金がもたらした上げ相場の代表格のようなものであり、ビットコイン価格は市場の投機的なムードを可視化している。

因みにビットコイン価格は先述の記事の頃から更に下落を続けている。

ガントラック氏の言うように、これが株価の先行きを示しているとすると、株価はどうなるだろうか。因みにビットコイン価格の先行きについては2月に記事を書いている。

ガントラック氏を含め、世界同時株安について著名投資家の意見は概ね一致しているようである。

しかし今回の下落に関してはわたしの見解が一番正確だろう。

現状ではまだ株価は反発していない。個人的にはもう一度ぐらいは市場が楽観のムードに振れてくれなければ、2008年以来の上げ相場の大天井に相応しくないと思っているが、どうなるだろうか。短期的な値動きはあまり気にせず、元々の投資戦略をただ継続したい。