ガントラック氏: 世界同時株安は2月の底値を更新する

2016年のトランプ相場からたて続けに相場予想を的中させている債券投資家のジェフリー・ガントラック氏が2018年10月に始まった世界同時株安の継続を予想している。Reuters(原文英語)などが伝えている。

絶好調のガントラック氏

今回の世界同時株安の今後の見通しについて、世界最大のヘッジファンドを運用するレイ・ダリオ氏は比較的緩やかな下落相場になると予想していた。

一方で、ガントラック氏は、レイ・ダリオ氏と比べればファンドの運用総額は負けているが、ここ数年の相場予想に関してはガントラック氏は飛び抜けていると言うべきだろう。2018年の相場についても以下のように予想していた。

そしてこの予想は見事に当たっている。一方で、ダリオ氏は1月時点で大幅な株高を予想していたが、その後の相場急落を受けて予想を撤回することとなった。

絶好調のガントラック氏だが、今後の展開についてはどう考えているのだろうか。先ず着目したいのは、ガントラック氏がFed(連邦準備制度)の量的引き締めを世界同時株安の原因として強調していることである。

世界経済は減速しており、企業の利益率を圧迫している。これが米国株に下方圧力を与えている。しかしもう1つの重要な要素は、Fedがバランスシートを縮小していることである。

株価の下落は、Fedが量的引き締めでバランスシートを縮小していることに対する反応だと言える。

読者は知っての通り、筆者はこの相場観に大きな賛意を送りたい。前回の記事では以下のように主張した。

株価は買い方に希望を与えるような反発を交えながら、長期的に下落してゆくだろう。それを止められるのは量的引き締めの停止だけである。

量的引き締めの停止は、今のところ議論されていない。それどころか世間では誰も量的引き締めについて語っていない。世界同時株安の本当の原因を、わたしとここの読者以外誰も理解していないのである。

しかしガントラック氏は理解している。ダリオ氏は、直近のコメントから考える限り、量的引き締めの影響を過小評価しているように思える。しかし量的緩和が株高に大きく貢献したのだとしたら、その逆回しでバランスシートを縮小する量的引き締めは大きな下落相場を引き起こさなければ理屈に合っていないのである。

今回の世界同時株安の原因が量的引き締めであるとすれば、株安は量的引き締めが止まらない限り止まらないだろう。ガントラック氏は世界の株式市場について次のように述べている。

多くの国の株式市場では既に20%以上の下落となっており、一部の人は弱気相場と呼んでいる。個人的には、何割下落すれば弱気相場だと定義する気はない。重要なのは市場のムードである。そしてムードを見れば、2018年の半ばに弱気相場入りしたのは確かだと言える。世界の株式市場は弱気相場入りしているのである。

S&P 500(訳注:米国の株価指数)は2018年2月の底値を更新する可能性が高い。

現在、S&P 500のチャートは以下のようになっている。2月の最安値までは、もう少しあるようである。

世界同時株安と量的引き締めの関係については、以下の記事を参考にしてほしい。このことについては市場の急落前から指摘し続けている通りである。