新型コロナ、イタリアが流行ピーク到達を宣言

ヨーロッパにおける新型コロナウィルス肺炎の大流行はイタリアから始まったが、そのイタリアの国立の研究所がイタリアの感染者数はピークに達したと宣言した。ヨーロッパにおける新型ウィルス流行の転換の始まりである。

減り始めた感染者数

イタリアの高等衛生研究所によれば現在の感染者数(全感染者数から回復した人と死者を差し引いた人数)はほぼ横ばいになっており、これから減少していくだろうとのことである。

ヨーロッパの感染の中心地となったイタリアでは感染者数は次のように推移している。以下の数字は回復者を差し引いていない累計である。

  • 3月23日: 63,927人 (+4,789 +8.1%)
  • 3月24日: 69,176人 (+5,249 +8.2%)
  • 3月25日: 74,386人 (+5,210 +7.5%)
  • 3月26日: 80,539人 (+6,147 +8.3%)
  • 3月27日: 86,498人 (+5,959 +7.4%)
  • 3月28日: 92,472人 (+5,974 +6.8%)
  • 3月29日: 97,689人 (+5,217 +5.6%)
  • 3月30日: 101,739人 (+4,050 +4.1%)
  • 3月31日: 105,792人 (+4,053 +4.0%)
  • 4月1日: 110,574人 (+4,782 +4.5%)

感染者数についてはここでは新規の増加数と増加率と重視して報じてきた。流行のピークに向かうにつれてまず増加率が減少し、その次に増加数が減少し、そうしてようやく回復者と死者を除いたその時の患者数の総数が減少を始めるからである。

増加数については3月21日の6,557人以来、減少トレンドを続けている。それでようやく回復者数の増加が感染者数の増加を上回り始めたのである。これで名実ともにイタリアにおける流行はピークに達した。スペインやドイツも後に続くだろう。

株式市場の今後の動向

さて、株式市場はどうなるだろうか。投資家が悲観を続ける間にウィルスは居なくなりつつある。

悲観的な見方としては新型コロナ相場を空売りして儲けたガンドラック氏のものが挙げられる。しかしガンドラック氏にしても次の下落がこの相場の底になると予想している。

こういう市場では短期的な予想は意味をなさないが、重要なのはウィルスが居なくなっても株安は続くのかということである。今、地球上から新型ウィルスが完全に消滅したと想像してほしい。市場は本当に微塵も上昇しないのだろうか? この仮定で市場が上昇するならば、1ヶ月後、2ヶ月後にウィルスが居なくなって市場が上昇しないとする根拠があるだろうか?

いま筆者は原油市場を主戦場としている関係で、一時的な都市封鎖が多くの倒産をもたらす可能性(というより予定)については重々承知している。事実、アメリカのシェール企業が破綻したところである。

しかし企業の破綻は株式市場にとって必ずしもマイナスではない。市場全体にとってマイナスかもしれないが、競合他社の破綻は企業にとってプラスである。それがあらゆる業界で起きようとしているのだから、この状況を生き残ることのできる財政の強固な企業を安値で買わない選択肢があるだろうか。

また、これまでの相場で下落が下落を呼んだように、資産価格の上昇自体が状況を改善してゆくのである。そのシナリオが有り得ることが今とリーマンショックの大きな違いであり、2018年の世界同時株安が回避可能だった理由である。それはジョージ・ソロス氏の再帰理論におけるバブル崩壊の定義そのものでもある。以下の記事で詳しく説明している。

結論

さて、一方で金融市場の中心地であるアメリカがピークを迎えるまでは上下動の激しい相場が続くだろう。これをリスクと考えるのではなく、優良企業が安値で売っていればそれを拾うチャンスを市場が与えてくれているのだと思うことだろう。

ここからもう一度下落がある場合にもそのチャンスがない場合にも、それぞれ適切な量のポジションが取れるように準備しておきたい。

こういう状況は非常にチェスに似ている。盤面がどちらに動いても勝てるようにしておくのである。