ジョージ・ソロス氏のSoros Fund Managementを運用しているドーン・フィッツパトリック女史の久々のインタビューがBloombergから出されている。
今回の記事ではイラン情勢と原油相場に関する部分を取り上げたい。
トランプ政権のホメイニ氏殺害
今、市場の話題はやはりイラン情勢である。ハメネイ氏がトランプ政権によって殺害され、イランはあらゆる方向に反撃している。
フィッツパトリック氏はイラン情勢に対する金融市場の反応について次のように述べている。
今日の値動きを見れば金融市場が明らかに動揺していることが分かるだろう。
株価指数だけを見ていればそれほど動いていないように見えるが、水面下では個別銘柄のかなり激しい上下動が行われている。
一番動いているのは、当然だが原油価格である。イランがホルムズ海峡を事実上封鎖しているため、イランのみならずホルムズ海峡を通過するほぼすべての貿易が停止しており、原油価格が高騰している。

フィッツパトリック氏は、それに関連して株式市場ではあらゆる銘柄が上がったり下がったりしているという。この状況が利益となる銘柄もあれば、大きな損失となる銘柄もあるからである。
フィッツパトリック氏は次のように続けている。
市場は確実にやや不安定になっている。
投資家は、これが数日の話ではなさそうで、かなり困難な状況になりそうだということに気づき始めている。
金融市場の反応
少なくともイランという国の国家元首を殺害しておいて、数日の混乱で済むと考えるのは難しいだろう。
フィッツパトリック氏のインタビューは先週初めのものだが、当時まだそれほどは下がっていなかった米国株も、フィッツパトリック氏の懸念通りその後下落を続けている。

何故米国株が下がっているのか? その原因は、戦争というよりは金利である。
フィッツパトリック氏は次のように説明している。
世界中の市場で利下げの織り込みが減退し始めている。先週(訳注:記事執筆時から見て先々週)の金曜日には利下げは0.6%織り込まれていたが、今では0.4%程度になっている。
そして当然だがアメリカの長期金利は0.15%上昇している。金融市場はかなり劇的に引き締め的になっている。それは多くの意味で懸念材料だ。
原油価格が高騰しているため、インフレ懸念からアメリカでも利下げが出来なくなっているのである。
原油価格の状況が利下げに影響を及ぼすかと聞かれ、フィッツパトリック氏は次のように答えている。
そうだ。アメリカの中央銀行も、この一時的な原油価格の上昇を注視したいと言っていた。
イラン情勢は原油価格を通してアメリカの金融市場にも影響を与えている。
Bridgewaterのレイ・ダリオ氏は、著書『世界秩序の変化に対処するための原則』において、現金給付でインフレが起きる世界では同時に戦争も起きると予言している。
何故現金給付と戦争に関係があるのかと思うところだが、ダリオ氏によれば、それは両方とも覇権国家の力が弱まる時に必然的に起きる現象なのである。
ダリオ氏はこれをウクライナ戦争勃発よりも前から予言していた。詳しくはダリオ氏の著書を読んでもらいたい。状況はまだ続いているからである。
