ガンドラック氏: 株価下落の原因は原油価格高騰によるアメリカ利上げの可能性

DoubleLine Capital創業者のジェフリー・ガンドラック氏が自社配信動画でイラン情勢と原油価格、そして米国の金融政策について語っている。

イラン情勢と原油価格

今金融市場で話題になっているのは、勿論イラン情勢である。戦争そのものは金融市場にはあまり影響を与えていないが、Soros Fund Managementのドーン・フィッツパトリックCEOの言っていた、数日では終わらないという予想は正しかったようだ。

何故ならば、イランが原油タンカーの通るホルムズ海峡を封鎖しているために原油価格が高騰しているからである。

そしてそれは、単にエネルギー価格が上がるというだけの意味ではない。ガンドラック氏は次のように述べている。

去年末には57ドルだったWTIの原油価格が95ドルまで40ドルも上がったのだから、それはアメリカのインフレ率の顕著な上昇に繋がるはずだ。

イラン情勢を受け、原油価格は次のようになっている。

原油価格とアメリカの利下げ

原油価格が上がり、インフレ率が上がれば何が問題なのか。インフレを懸念したFed(連邦準備制度)が利下げ出来なくなるからである。

株式市場は下がっているが、それは戦争だからではなく、利下げが困難になると予想した債券市場において金利が上がっているからである。金利上昇が株価に重くのしかかっている。

米国市場では、今後の政策金利の推移を織り込んで上下する2年物国債の金利はどうなっているのか。チャートは次のようになっている。

2年物国債の金利は原油価格の急騰を受けて急上昇している。

アメリカの利下げ

この状況の何が問題なのかと言えば、ガンドラック氏は次のように説明している。

何度も言っているが、2年物国債の金利が政策金利を決める。逆ではない。

Fedが2年物国債に追随するというのは明らかだ。リーマンショックを振り返って見ても、2年物国債の金利はFedが最終的に緊急利下げに動く数年も前からかなり大きく下がっていた。

2年物国債の金利は今後の政策金利の市場予想を受けて推移するのだが、現実には中央銀行家には経済を予想し適切な金利を設定する能力がないため、中央銀行の仕事は主に政策金利の市場予想である2年物国債の金利を見て金利を動かすことになっている。

実際、リーマンショックにおいても2021年のコロナ後の物価高騰においても、Fedの動きは遅れ、その間2年物国債の金利は先に動いていた。

今後のアメリカの金融政策

Fedの動きに先んずることが多い2年物国債の金利が急騰している。それは株式市場にとってどういう意味を持つのか? ガンドラック氏は次のように説明している。

現在、2年物国債の金利は政策金利よりも高くなっている。それの意味するところは、Fedが利下げをする確率よりも利上げをする確率の方が高いということだ。

金利の差はわずかだが、更なる利下げに賭ける局面から、少しだけではあるが利上げに賭ける局面に変わったということだ。

利下げがなくなったどころか、利上げの可能性さえ見えてきている。ガンドラック氏は次のように続けている。

パウエル議長は、インフレ減速に進展が見られなければ、利下げはないと言った。それが株式市場が足場を失い始めている理由だ。

結論

結局のところ、インフレが株価の重しになっているということである。もしインフレが長く続くのであれば、それは長期的に米国株の頭を抑えることになるだろう。

過去40年間米国株が好調だったのは、世界経済がデフレだったからである。しかしインフレ期の株価のパフォーマンスは悪い。ウォーレン・バフェット氏の師であるベンジャミン・グレアム師が名著『賢明なる投資家』でインフレ期における株価のパフォーマンスを酷評していたことが思い出される。

米国株を持っている人は、デフレは終わったということをよく考える必要がある。あまりに有名なグレアム氏の著作も参考にしてもらいたい。


賢明なる投資家