DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏が、CNBCのインタビューで金相場と銀相場の上昇について語っている。
世界的な国債価格の下落
債券の専門家であるガンドラック氏が気にしているのは、世界的な金利上昇である。特に、政策金利に影響される短期金利は人工的に低く抑えられているが、国債の需給に左右される長期金利はどの国も比較的上がっている。
アメリカでもそうだが、特に日本国債には買い手がついておらず、特に高市政権になって以来、日銀の操作の手からもっとも遠い30年物国債の金利は買い手不足を反映してどんどん上がっていっていて、ガンドラック氏もそのことに触れている。
以下は30年物日本国債の金利である。

国債下落と金価格の上昇
ほとんどの先進国で国債に買い手がついていないのである。ガンドラック氏は次のように述べている。
金利上昇は間違いなく世界的な現象となっている。人々は政治家が各国の債務に対処するやり方を信用していないのだ。
それで金価格が馬鹿げているほどに上がっている。
金価格がとんでもなく上がっていることは、ここの読者なら周知の事実である。ここでは去年からゴールドの推奨記事を書き続けてきたからである。

人々は各国の政府債務の問題が紙幣印刷で解決されることを見越して、ドルや円、米国債や日本国債から誰も勝手に印刷できないゴールドへと逃げているのである。
シルバーの上昇開始
さて、これまで上がっていたのはゴールドだけだったが、ここではシルバーもゴールドの上昇に続くと何度も書き続けてきた。
そしてシルバーはついに今年の夏、これまでの遅れを取り戻すかのように急上昇を開始した。

人々の政府債務と紙幣印刷への懸念がついに銀相場にも影響し始めたということである。
ガンドラック氏は次のように言っている。
銀価格は金価格以上に上がっていて、それはあまり良い兆候ではない。
シルバーが金相場の投機的な熱狂に加わり、しかも金価格の上昇を超え始めるとき、それは何か金融システムに問題が起きる兆候だ。
何故か。以前、ゴールドとシルバーの買い手の違いについて記事を書いたことを思い出してもらいたい。
この記事では、ゴールドの主な買い手がドルから逃避したいBRICS諸国や中東諸国の中央銀行であるのに対して、シルバーの買い手は一般の人々であるということを指摘した。
これまではアメリカの政府債務の状況を懸念した国がドルからゴールドに資金を移していたのだが、シルバーまで上がり始めたということは、その懸念が一般の人々にまで及びつつあるということである。
結論
ゴールドもシルバーも去年から推奨記事を書き続けているが、まさにそのままの価格上昇が実現している。
ゴールドとシルバーの最新の相場予想については、以下の記事を参考にしてもらいたい。
また、ドルから資金が逃避している理由については、Bridgewaterのレイ・ダリオ氏の新著『How Countries Go Broke』(仮訳:なぜ国家は破綻するのか)を参考にしてもらいたい。
日本語版はないが、米国経済の今後を詳しく予想している本なので、英語が読める人は読んでおくべきだろう。
