銀価格高騰でシルバーのETFが現物を確保できず破綻する可能性

Von Greyerzのパートナーであるアラスター・マクラウド氏が自社配信動画で、最近急上昇している銀相場について興味深いこと語っているので紹介したい。

急上昇する銀相場

ここでは、金融市場では今や誰もが価格上昇を話題にしているゴールドについては2年前から推奨記事を書き続けてきた一方で、去年半ばまで上がっていなかったシルバーについても、いずれゴールドに追いつくと言い続けてきた。

そして銀相場は去年こうなった。

貴金属相場が高騰している理由は、地政学や財政の問題から、ドルで資産を保管していた投資家たちが、ドルを捨てて通貨の代わりとなる貴金属をこぞって買っているからである。

最初はアメリカと距離を置こうとした中東諸国やBRICS諸国の中央銀行がドルを売り払ってゴールドを買っていたことから始まっており、それでシルバーではなくゴールドだけが上がっていたというのが去年半ばまでの状況だが、トランプ政権がアメリカの財政問題を金融緩和で解決するという見方が強まると、ドルへの懸念はより広く一般の投資家に広まったようだ。

シルバーの枯渇

それで予想通りゴールドだけでなくシルバーも上がり始めたわけだが、銀価格の上昇があまりに急激であるため金融市場では問題が生じている。

マクラウド氏は次のように述べている。

シルバーについては、ロンドンのスポット価格とシカゴの先物価格が乖離する事態が生じている。

簡単に言えば、スポット契約は買い手がすぐに現物のシルバーを要求する取引であり、先物契約は現物の引き渡しは未来の話ということになる。

銀相場はスポット価格の方が高い状態となっており、マクラウド氏はこの価格差を、今すぐ現物のシルバーを要求する投資家の需要が十分に満たされていないからだと見ている。

マクラウド氏は次のように続けている。

これはロンドンで投資家が現物のシルバーを要求しているにもかかわらず、現物のシルバーが枯渇しているということを示している。

価格差は一時3ドルにもなった。これは大きな数字だ。

シルバーの需要と供給

現物のシルバーと、銀価格に連動する金融商品は別のものであり、貴金属は現物を保有しなければならないというのがVon Greyerzのほとんど哲学と言えるものだ。

Von Greyerzの専門家たちは、金融商品が没収され、現物が返ってこなくなるリスクを指摘しており、現物の貴金属にはその心配がないと言っている。

先進国の債務問題を心配して貴金属を買うならば、政府が金融機関に手を回して国民の資産を何らかの形で没収する(歴史上何度も行われた)可能性を考えるべきであり、シルバーの現物を求める上記のような動きは、投資家がそうしたシナリオを本気で心配し始めている徴候かもしれない。

また、現物のシルバーが枯渇しそうな理由はそれだけではない。マクラウド氏は次のように言っている。

中国は最近新たなレアアース規制を導入した。同時に、中国は世界2位のシルバーの生産国でもある。

中国がシルバーの輸出をも規制する可能性はどうだ? それはあり得ることだ。

ETFのシルバーは危うい

そして、ここからが重要なのだが、マクラウド氏は一番のリスクは貴金属のETFだと言っている。

マクラウド氏は次のように述べている。

だから現物のシルバーが枯渇する可能性が出てきている。そしてほとんどの人はそれについて何も考えていない。

だが一番重要なのはETFだ。

例えばインドはシルバーの大きな買い手だが、インドの大手ファンドではシルバーのETFへの新規投資が停止されている。それに相当する分の現物のシルバーが用意できないからだ。

ETFにも色々ある。現物のシルバーを保管しているものもあれば、先物価格に連動しているものもある。

だがいずれにしても、自分で保管している貴金属とは違い、政府の債務問題が危機的な状況になった時に没収されるリスクを排除できない。

これまではETFの投資でも良かったかもしれない。だが、トランプ政権や高市政権が政府債務の問題をどう扱おうとしているかを考えると、そろそろ現物保有の利点を本気で考えておくべき時期かもしれないと個人的には思っている。

また、ジェフリー・ガンドラック氏は、貴金属の高騰がエネルギー資源や農作物など他のコモディティ市場にも広がると予想している。紙幣印刷で紙切れになるドルや円の代わりになるものとして、様々な選択肢を考えるべきだろう。

ゴールドなどを含むコモディティ投資については優れた本少なく、入門書として薦められるのは古い本だがジム・ロジャーズ氏の『商品の時代』くらいだろう。

投資と言えば株式だと思っている人は、少し勉強して視野を広げるべきだろう。2025年の米国株のリターンは、ゴールドやシルバーのリターンに遠く及ばなかったからである。


商品の時代