引き続き、Von Greyerzのエゴン・フォン・グライアーツ氏の、カイ・ホフマン氏によるインタビューである。
今回は、ゴールドに続きシルバーについて語っている部分を紹介したい。
金相場と銀相場
前回の記事でフォン・グライアーツ氏は、ここ数年の金価格の上昇は主に東側諸国の中央銀行がドルを売ってゴールドを買っているためだと主張していた。
金価格は次のように推移している。

アメリカの債務問題や、ドルを持っていればアメリカに経済制裁される可能性があることから、世界的にドル資産からゴールドへの資産逃避が進んでいる。
一方で、同じように歴史的には紙幣の代わりとして使われてきたシルバーは、ゴールドに対して大きく出遅れていた。
恐らくは、シルバーは中央銀行が外貨準備としていないからだと思われるが、筆者もフォン・グライアーツ氏も、シルバーはいずれゴールドを追いかけて上がると言い続けてきた。
そして銀価格は今年の9月頃からようやく上がり始めた。

フォン・グライアーツ氏の銀価格予想
だが、長期的に見ればシルバーはまだまだゴールドに対して出遅れている。ゴールドは去年から倍以上になっているのである。
だから、フォン・グライアーツ氏は次のように予想している。
シルバーは恐らくゴールドの2倍の速度で上昇すると予想している。
シルバーはゴールドに、少なくともある程度追いつかなければならないからである。
さて、では銀相場は何処まで上がるのか? フォン・グライアーツ氏は、金価格と比較して銀価格の妥当な将来価格を割り出している。
まず、フォン・グライアーツ氏が前回の記事で、ドルからのゴールドの資金逃避に関して、そもそも今のドル需要の代わりになれるほどのゴールドが世界に存在しないということを指摘し、それこそが金価格が理屈では説明不能の水準まで上がっている理由だと説明していたことを思い出したい。
だからフォン・グライアーツ氏は、金価格の上昇がここで止まるとは思っていない。そしてそれを踏まえてフォン・グライアーツ氏は次のように言っている。
わたしは何年も前に金価格は10,000ドルまで上がると予想した。それはゴールドにとって最低限のラインだ。
そしてゴールドとシルバーの価格の比が歴史的な平均である15倍まで戻れば、銀価格は666ドルになる。
ちなみに今の銀価格は50ドルである。
結論
フォン・グライアーツ氏はゴールドに対するシルバーの出遅れを、ゴールドとシルバーの価格比で計っている。ゴールドの予想価格をまず立て、それに対して両者の価格比が歴史的な水準に戻るならばという仮定の元で666ドルという数字を出しているのである。
フォン・グライアーツ氏は次のように付け足している。
これは予想ではないが、十分あり得ることだ。
少なくとも紙幣を持つよりはシルバーを保有する方がよほど良いことは確かだ。
レイ・ダリオ氏が『世界秩序の変化に対処するための原則』における歴史研究で解説している通り、歴史上存在したあらゆる通貨のほとんどは歴史上のどこかのタイミングで消滅し、そして消滅していないすべての通貨は、インフレによって大きく価値を落としている。
歴史上続いてきたことが今も起こっているだけのことである。