Tudor Investment創業者のポール・チューダー・ジョーンズ氏が、CNBCのインタビューで来年に向けてのアメリカの株式市場について語っている。
アメリカ経済の展望
金融市場では、誰もがアメリカの利下げに注目している。トランプ大統領がFed(連邦準備制度)に金融緩和を要求しており、パウエル議長の任期が終わりトランプ氏の指名する新議長が就任する来年5月にかけて市場は金融緩和を織り込んでゆくと見られているからである。
投資家にとって1つの問題は、既にかなり高い水準になっている米国株がここから上がるのかということである。
ジョーンズ氏は次のように言っている。
1999年のようだ。そうだろう? 1999年とまったく同じ雰囲気だ。厳密な繰り返しになるかどうかは分からないが、すべての材料は既に整っている。
トレーディングの観点から言えば、今が1999年10月であるかのようにポートフォリオを準備しなければならない。他のやり方をすべき理由は見当たらない。
投資に慣れている読者ならば、ジョーンズ氏がいつの話をしているのかすぐに分かっただろう。1999年とは2000年のドットコムバブル崩壊の前年である。
当時のNasdaqのチャートを見れば、1999年10月というのがどのような位置なのかが明確に分かるだろう。

バブルのクライマックスへ
ジョーンズ氏は次のように言っている。
当時、Nasdaqは1999年10月から2000年の3月までで2倍に上昇した。
米国株はそもそもコロナ後にかなり上昇してきた。その状況で、しかもアメリカのインフレ率がじわじわ上がってきている状況で、トランプ大統領は金融緩和を望んでいる。
しかも当時と明らかな共通点は、今はAI銘柄、当時はMicrosoftなどのインターネット関連銘柄が主役となって相場が上がってきたということである。
ジョーンズ氏は、当時と今の株式市場が似ていることに関して次のように言っている。
アヒルのように見え、アヒルのように鳴くのであれば、それは恐らく鶏ではないだろう?
上昇相場ではいつも、一番大きな株価の上昇は天井まで1年以内に起きる。
それが上昇相場というものだ。
米国株はどれだけ上がるか
ドットコムバブルでは10月から天井までの半年ほどで株価は倍になった。
しかしジョーンズ氏は、今回はもしかしたらそれよりも上がるかもしれないと言う。ジョーンズ氏は次のように言っている。
今回の相場は、1999年の相場よりも爆発力の強いものになり得る。1999年には、11月に利上げを控えていた。今の相場はこれから利下げがある。
2000年の天井までには、そこから4回の利上げがあった。今の相場では、これから最低でも3回か4回の利下げがある。
金融政策によって、実質金利はゼロか、次の議長次第ではマイナス金利になるだろう。
インフレを無視して金融緩和をしたことによる株価の上昇は、大体の場合それを抑えようとして金融引き締めをすることによって崩壊する。
1999年10月には既にそれが始まっていたが、今はむしろこれから金融緩和となる。
また、政府が財政支出でどれだけお金をばら撒いているかということも今と当時では大きく違う。
ジョーンズ氏は次のように言っている。
また、当時との大きな違いは、1999年から2000年はアメリカは財政黒字だったが、今はGDP比6%の財政赤字だ。
金融政策、財政政策の両面から見て、今は株価に大きく有利だとジョーンズ氏は言っている。ジョーンズ氏は次のように続けている。
このような政策の組み合わせは戦後、恐らく1950年代以後見たことのないものだ。
結論
1つの問題は、ジョーンズ氏が1999年10月だと言っているということは、ここから2倍上がるということと同時に、天井まで半年だということも意味するということである。
だがジョーンズ氏は次のように言っている。
これをトレードしないなら、あなたは美味しいところを逃すことになる。トレードするなら、かなり警戒しながらやることだ。何故ならば、最後にはバッドエンドになるだろうからだ。
株価の爆発のための状況は既に整っている。当時と同じことが起きるだろうか? 歴史は韻を踏む。だから、ある程度同じようなことが起きるだろうと思う。
読者はこの状況をどうトレードするだろうか。少なくとも、ドットコムバブルがどのように盛り上がり、どのように終わったのかは知識として知っておくべきだろう。
以下の記事ではジョーンズ氏とも親しいスタンレー・ドラッケンミラー氏の実体験を紹介しているので、そちらも参考にしてもらいたい。