引き続き、DoubleLine Capital創業者のジェフリー・ガンドラック氏の、Bloombergによるインタビューである。
今回は、最近金利上昇が問題になっている日本国債について騙っている部分を取り上げたい。
日本の金利上昇
日本国債の金利が上がっている。日本の10年物国債の金利は次のようになっている。

元々上がっていたが高市政権になって更に上がった。高市氏がインフレを気にしないような発言をするからだが、最近そうした発言が控えめなのは、Reutersによれば高市氏の周辺が金利上昇と円安を結構恐れているかららしい。
だが、10年物国債の金利は未だ日銀によって操作されているので、操作されていない30年物国債の金利はもっと遠慮なく上がっている。
もともと、日本の金利は日銀によって完全に操作されており、黒田前総裁の時代には日本国債の金利はマイナスだった。つまり、日本政府にお金を貸すと、金利を得るどころか金利を取られた。
意味が分からないがマイナス金利とはそういうことである。日銀が紙幣を印刷して日本国債を無尽蔵に買うことによって、日本国債の価格は買い手が最終的に損をするような高値まで上がっていたのである。
日銀の金利操作
ガンドラック氏は日本国債の状況について次のように述べている。
日本はもう何十年も金利をゼロに操作してきた。誰も日本国債を買いたがらないのにだ。
日銀が日本国債を買わなければならないのは、他の人が日本国債を買わないからである。
日本国債はもう誰も買ってくれないのか。ガンドラック氏は金利がまだマイナスだった頃に、日本の年金を運用しているGPIFの運用担当者に会ったことがあるらしい。
ガンドラック氏は次のように言っている。
以前、世界最大の年金基金である日本のGPIFの運用者に会ったことがある。
わたしはどうしても気になったので彼に聞いた。マイナス金利の日本国債を保有しているのですか?
彼は爆笑して答えた。そんなわけがないと。日銀と、国債の保有を強要されている日本の金融機関しか日本国債を買いたがらないと。
結論
日本のGPIFは日本国債保有というアイデアに対して爆笑したらしい。
日本国債を誰も買いたがらないので、日銀に買わせたら円安とインフレが酷くなった。それで植田総裁が金利を上げているのだが、そうすると今度は実体経済が減速し始める。
どちらに行っても地獄の状況が黒田前総裁によって作り上げられたわけである。
そして、アメリカでも同じように米国債の買い手不足が問題となっている。
国債の買い手がなくなれば、最終的には中央銀行が紙幣を印刷して買い取るしかないのはどの国でも同じである。
そして通貨の価値が犠牲になる。ガンドラック氏は次のように言っている。
アメリカでもそうなるというのがわたしのメインシナリオだ。
財政赤字がこのままになれば、市場が金利を決めるような状況はいずれ許容できなくなる。
Bridgewaterのレイ・ダリオ氏は、新著『How Countries Go Broke』(仮訳:なぜ国家は破綻するのか)でアメリカは債務問題を解決するためにドルの価値を犠牲にするという、同じシナリオを提唱している。
その本の中で、日本のアベノミクスは国家が債務処理に失敗した事例として詳しく解説されている。
ドルは、円は、どうなるのだろうか。ダリオ氏の著書は日本語版はないが、英語が読める人はそちらも参考にしてもらいたい。
