ジョージ・ソロス氏のクォンタム・ファンドを運用していたことで有名なスタンレー・ドラッケンミラー氏が、Morgan Stanleyのインタビューで2026年の金融市場について語っている。
2026年のドラッケンミラー氏の相場観
久々のドラッケンミラー氏のインタビューである。動画のものは1年ぶりではないだろうか。
ドラッケンミラー氏は2026年の金融市場をどう見ているのか。彼は次のように述べている。
米国経済は既に強い。そしてトランプ政権の経済政策を考えれば、これからますます強くなるだろう。
Fed(連邦準備制度)が利上げすることはないだろう。恐らく利下げする。
それが今の状況だ。それで米国株が割安なら素晴らしいのだが、米国株は割安ではない。バリュエーションは長期的に見た高値圏にある。
ドラッケンミラー氏は、まずアメリカの金融政策と財政政策がリスク資産に対して追い風であることを確認する。アメリカの中央銀行はトランプ大統領が選んだ新議長が5月に就任することもあり、利下げ側に傾いている。
政策は株式などに有利なのだが、米国株は割安とは言えない。それが今の状況である。それを踏まえてドラッケンミラー氏は次のように言っている。
だがそうした状況を考えれば、様々な種類の株式を広く選別して保有するのが良いだろう。
地雷を踏まず、良い銘柄だけを選んでゆけということである。
AI銘柄はバブル
さて、ではどのような銘柄を選べば良いのか。ドラッケンミラー氏は次のように述べている。
去年の夏から秋にかけて、AIブームは眉をひそめるレベルで過熱し始めた。そして1999年から2000年にかけてわたしが経験したことに類似してきた。
だからわれわれは他の銘柄を探し始めた。
ドラッケンミラー氏は、元々AI銘柄を主力にしていた。例えばNVIDIAは今やAI銘柄の筆頭として米国株投資家なら誰でも知っている銘柄になったが、ドラッケンミラー氏や筆者がNVIDIAに目をつけていたのは2年前の話である。
だがその後、特に去年の後半にAI銘柄はバブルの領域に入ったとドラッケンミラー氏は判断しているようだ。ドラッケンミラー氏の言う1999年から2000年とは当時のドットコムバブルのことであり、ドラッケンミラー氏はその時期に痛い目に遭っている。
その時もただでは転ばなかったのがドラッケンミラー氏らしいが、それでもやはりドットコムバブルめいたものには手を出したくないらしい。
ドラッケンミラー氏は次のように述べている。
AI関連銘柄はまだ多少は持っているが、もはや主力銘柄ではない。
日本株と韓国株
では、ドラッケンミラー氏はどんな銘柄を持っているのか。ドラッケンミラー氏は次のように続けている。
日本株と韓国株にまだ大きなポジションを持っている。その一部はAI関連だ。
ドラッケンミラー氏は米国株より日本株と韓国株を好んでいるらしい。米国株は割高だと言っていたから、相対的な割安さを考慮してのことだろう。
また、当然金融政策を考慮するドラッケンミラー氏だから、日本の政治家がアメリカよりもインフレや通貨安を気にしそうにないということ考えてのことだろう。ウォーレン・バフェット氏も同じような観点から日本株に投資していた。
結局、どの国に投資するにしても2026年で一番重要なのは金融緩和と通貨の価値下落である。
ドラッケンミラー氏はドルについては次のように述べている。
われわれはドルに弱気だ。ドルの購買力は、歴史的に見た高値水準にあると思うからだ。外国人はドルを持ちすぎており、持て余している。
これをアメリカ売りトレードと呼ぶべきなのかは分からない。単に外国人がドルを新たに買わないだけで、貿易赤字と対外債務のお陰でドルは勝手に下がってゆく。
ウクライナ戦争以来、アメリカがドルを使った経済制裁を武器にしていることもあり、諸外国の中央銀行がドルを売ってゴールドを買っていることが金価格高騰の理由であることは、ここの読者であれば誰でも知っているだろう。
だがそもそも、貿易赤字とアメリカが外国人投資家に支払う国債などの利息を考えれば、アメリカからは元々資金が流出してゆく状況なのであって、各国政府や海外の投資家がドルを売るどころか、新たに買わない状況が出来るだけでドルは下がってゆく。
それがドラッケンミラー氏の言っていることである。
2026年のドル安予想についてはレイ・ダリオ氏の主張が一番有名かもしれないが、ドラッケンミラー氏もそれに同調している。
レイ・ダリオ氏のドル安予想については、ダリオ氏が物騒なタイトルの新著『How Countries Go Broke』(仮訳:なぜ国家は破綻するのか)で詳しく解説している。日本語版はないが、英語が読める人はそちらも参考にしてもらいたい。覇権国家アメリカの破綻を予想したものである。
