去年から紹介していたAI銘柄のLumentumが十分すぎるほどに上昇したので、利益確定した。最終的な利益は121%である。
NVIDIAからLumentumへ
筆者は一昨年から去年までAI銘柄のNVIDIAを推奨していた。一昨年の時点で既に割高だと言われていたNVIDIAを、将来の利益を計算した上でむしろ割安すぎるとして何度も推奨した。
だが、一昨年の段階では夢のような利益成長率を誇っていたNVIDIAも、去年からは30〜40%程度の成長率に落ち着いてきた。
それでも十分高成長なのだが、筆者はLumentumに乗り越えた。何故ならば、去年の段階でLumentumの利益成長率は108%であり、しかも株価収益率はNVIDIAより割安だったからである。
光トランシーバー大手のLumentum
何故そうなったか。Lumentumはデータセンターなどで使われる光トランシーバーで世界シェア2位のメーカーである。
この光トランシーバーはNVIDIAの作るGPUに密接に関係している。GPUはAIの処理能力そのものを担当する頭脳部分であり、それを作っているNVIDIAの株価が大きく上がったことは当然だろう。
だがAIに対応したデータセンターでは、このGPUを並列させてより高性能なコンピューティングを実現する必要があるが、GPU同士(サーバ同士)を並列させるためには、光ファイバーでそれらを繋ぐ必要がある。
GPUで処理されているデータを光ファイバーを通る信号に変換するものが光トランシーバーであり、AIの高速処理を遅延させない高性能な光トランシーバーが必要となっているのである。
結果、AIへの投資でLumentumの売上高は大幅に上昇し、株価も急騰した。

筆者が最初にこの銘柄を紹介した去年8月には株価は52ドルだったので、121%の上昇(つまり2倍超になった)ということになる。
Lumentumを利益確定
さて、ここまで上がったLumentumをどう考えるかである。アナリスト予想の平均によれば、Lumentumの来年の1株当たり純利益は4.31ドルであり、再来年は5.89ドルになると予想されている。
この数字を使って計算すると、来年から再来年にかけての利益成長率は37%、株価収益率は来年の数字で26倍、再来年の数字で19倍ということになる。
読者はこれらの数字をどう考えるだろうか? 普通に見れば、これは悪い数字ではない。30%以上の成長率を誇っている上場企業はアメリカにもそうそうないにもかかわらず、株価収益率はS&P 500の平均と同程度か、利益成長につれてそれより割安になる。
だが考えてほしい。筆者が去年Lumentumを推奨したとき、成長率は108%で、株価収益率は15倍だったのである。
結論
ということで、Lumentumのバリュエーションは、株価がそのままで推移することはほぼ有り得ない極めて割安な状態だった去年の状況から、普通の優良株というくらいの状況への移行した。
つまり、去年のNVIDIAと同じ状況である。今の状況でも悪くないかもしれないが、筆者が投資をするのは普通の優良株ではない。去年のLumentum、一昨年のNVIDIAのように、馬鹿げているほどバリュエーションが激安の銘柄である。
ということで、Lumentumは121%の利益で利益確定することにした。ちょうど1年ほどの投資であり、悪くないリターンだろう。
投資の秘訣は、馬鹿げているほど激安の銘柄にしか投資をしないことである。そうすれば高確率で高リターンが返ってくる。
筆者が銘柄を決める時には常に、『マーケットの魔術師』におけるインタビューでジム・ロジャーズ氏が言っていた次の言葉を頭に置いている。
私は道ばたにカネが落ちているまで待っている。私はそこへ行って、拾い上げるだけだ。
「樽の中の魚を釣る」という格言のような状況を待っているんだ。

マーケットの魔術師