引き続き、ジョージ・ソロス氏のクォンタム・ファンドを運用していたことで有名なスタンレー・ドラッケンミラー氏の、Morgan Stanleyによるインタビューである。
今回は、市場の向きに逆らう逆張り投資について語っている部分を紹介したい。
ドラッケンミラー氏の逆張りトレード
ソロス氏やドラッケンミラー氏と言えば、市場の予想とは反対のことに大きく賭け、莫大な利益を上げるヘッジファンドマネージャーだという一般的な印象がある。
つまり、市場が暴落している時に上昇に賭けて買いを入れ、市場が熱狂している高値を空売りするというトレードである。
実際、ソロス氏とドラッケンミラー氏は、1992年のポンド危機においてイングランド銀行がポンドの価値を維持しようとする中、その反対の方へ賭けて多額の利益を得た。
この有名なトレードには現在アメリカの財務長官であるスコット・ベッセント氏もかんでおり、以下の記事で当時のことを説明している。
逆張り投資は過大評価されている
だが、ドラッケンミラー氏自身は逆張り投資について次のように言っている。
逆張り投資は過大評価されていると思う。ソロスも、多数派の考えは80%は正しいとよく言っていた。残りの20%に捕まってはいけないだけだ。
ドラッケンミラー氏といえども、トレンドに乗ってトレードすることはいくらでもある。例えば、2年前にNVIDIAを買っていたのは、トレンドよりも早かったが、それがトレンドになってからもそのままそれに乗っていたのである。
だが、トレンドはいつか転換する瞬間が来る。その瞬間に、単なる順張りの人はそのまま乗り続けて落ちてゆくが、ドラッケンミラー氏やソロス氏は空売りで参加するというだけのことである。
逆張り投資の楽しみ
つまり、ドラッケンミラー氏の利益の多くは、普通の投資家と同じように順張り投資から来ているが、ドラッケンミラー氏は逆張り投資に特別な感情を抱いている。
ドラッケンミラー氏は次のように述べている。
わたしは、多数派が正しくない残りの20%をトレードすることに知的な楽しみを感じている。だが、一般論として逆張り投資は過大評価されていると思う。
自分が何かを確信していて、他の誰もそれを信じていないとき、わたしは楽しみを感じる。そういう時にわたしの確信は一層強くなる。
単純に、逆張り投資は楽しいのである。暴落している株を買い、暴騰している株を空売りするのだから、順張り投資よりもタイミングがシビアであり、難しい。だがそのトレードを完璧にこなした時の充実感は、それを実際にやったことのある投資家にしか分からないだろう。
結論
だが、ドラッケンミラー氏は究極的には順張りか逆張りかはどうでも良いと言う。ドラッケンミラー氏は次のように述べている。
だが、投資のアイデア自体が正しければ、多数派がそれをどう考えているかは問題にならない。多数派が反対のことを考えていた方が安い価格で買いやすいが、本質的には投資そのものにとってはどうでも良いことだ。一切気にならない。
結局、アイデアが正しいかどうかが問題だということである。
ちなみにドラッケンミラー氏やソロス氏らがイングランド銀行を打ち負かしたポンド危機については、ソロス氏が自伝『ジョージ・ソロス』においてソロス氏の視点から語っているので、興味のある人はそちらも参考にしてもらいたい。
