ドラッケンミラー氏: 投資家が失業率を監視するのは無駄

かつてジョージ・ソロス氏のクォンタム・ファンドを運用していたことで有名なスタンレー・ドラッケンミラー氏が、Morgan Stanleyのインタビューで投資と経済統計について語っている。

失業率は遅行指標

インタビューの司会者がドラッケンミラー氏に「もっとも誤解を招く経済指標は?」と聞くと、ドラッケンミラー氏は間髪を入れずに次のように答えている。

失業だ。単純に馬鹿げている。どうして経済を予想するために遅行指標を使うんだ? ただただ愚かだ。

投資家は雇用統計を毎月チェックする。雇用統計には、就業者数や失業率、賃金などのデータが含まれている。

だが、ドラッケンミラー氏は投資家が毎月チェックする失業率を見ても経済は予想できないと言う。

何故ならば、失業は遅行指標だからだ。企業が従業員を解雇するのは、景気が悪くなった時である。だから、景気が悪くなってから失業が起きるのであって、その逆ではない。

経済を予想するには、むしろ景気より先に変動する先行指標を探さなければならないのであって、遅行指標を見ても意味がないのである。

ミクロからマクロへ

では投資家はどういうところから情報を得れば良いのか。ドラッケンミラー氏は次のように述べている。

わたしのマクロに関する情報はすべてマクロ経済統計ではなく個々の企業から来ている。そして経済よりも先行する企業、経済よりも遅行する企業を見て、あらゆる業界の情報からパズルを組み上げる。

マクロ経済統計はトレードのタイミングを考える時には使うが、経済のファンダメンタルズを考えるためには個々の企業を見る。

長年企業の言っていることを聞き、そのトーンを理解して情報のモザイクを組み上げることで培ってきた能力がわたしにはある。

これはドラッケンミラー氏が常日頃から言っていることでもあるが、ドラッケンミラー氏の情報源は個々の企業から出てくる情報である。

その情報には、毎四半期に出される決算もあれば、企業の人間と直接話して得る情報もあるだろう。ドラッケンミラー氏は次のように続けている。

ソロス氏のファンドにいたとき、株式チームの存在意義はわたしにマクロ情報を提供することだった。株取引で利益を出しているかどうかはどうでも良かった。

ドラッケンミラー氏は個々の企業から得られる情報を見て、マクロ経済を判断している。個人投資家が企業内部の人と話す機会はあまりないかもしれないが、決算をチェックし、その企業、その業界がどうなっているかを把握することは重要である。

更に、ドラッケンミラー氏は次のように付け加えている。

リーマンショック後にマクロ経済統計が死んだ後、一番重要な情報はどの株を買うべきかではなく、企業の間で何が起こっているかで、それによって為替や債券などをトレードできるということだった。

「リーマンショック後にマクロ経済統計が死んだ」という言葉は興味深い。金利がゼロになり、少なくとも金利の動きは中央銀行に操作され、実体経済をそのまま反映するものではなくなった。GDPも、現金給付でコロナショックを覆してしまうほどなのだから、操作された数字だと言えるだろう。

だからこそドラッケンミラー氏は、マクロ経済を知るために個別の企業を見ている。そして今のアメリカ経済について聞かれ、次のように答えている。

強い。