トランプ大統領誕生で投資の鉄則に従い金相場のポジションをすべて利益確定

ドナルド・トランプ氏の大統領当選を受け、昨年12月から続けていたゴールドの買いポジションをすべて利益確定することを決定した。金については暴落していた昨年前半にその後の反発を示唆し、12月の底値で買い付けを開始、その後1月から2月の始めにかけて買い増しを発表した。

結果として平均価格1,100ドル程度での買い付けを達成した。その後の金価格の推移は以下のチャートの通りである。

2016-11-11-gold-middle-term-chart

執筆時点で金価格は1,260ドル程度まで上がっているので、およそ14-15%程度の利益ということになる。以下の記事で利益確定を発表した米国株や原油市場でのポジションによる少しの利益と合わせれば、難しい相場環境において2016年のトレードはまあまあの結果だと言えるだろう。

ちなみに金投資を利益確定する理由は、トランプ大統領誕生で相場環境が一変したためである。そもそもゴールドに賭ける理由はアメリカ経済が長期停滞し、利上げは頓挫、金融緩和再開に行き着くとの予想によるものだが、トランプ氏のチームは恐らくこれまでのどの政権よりも経済のことを良く理解している。

経済に深く浸透した長期停滞トレンドを一つの政権が覆すことは出来ないと考えているが、トランプ大統領は恐らく政治に可能なすべてを行うと想定され、それならば投資家が考えるべきは「政治が長期停滞に抗う最良の選択を行うとき、相場はどう動くのか」である。これはこれまでのわたしの投資テーマとは根本的に異なるものである。だからポートフォリオを一旦リセットし、ゼロから組み直すことにした。

ちなみに、この判断は金価格が暴落するとか、あるいは短期的な急落から反発しないという予測ではない。ゼロから組み直した結果、また金を買うことも有り得る。しかしトランプ大統領の政策はまだ具体的には発表されておらず、そして彼の政策は金相場に短期的に大きな影響をもたらす可能性がある。これは金投資にとって不確定性であり、投資の決して侵してはならない鉄則は、不確定性のあるものに投資をしてはならないというものである。利益確定の理由はこの一点に尽きる。他に理由は何もない。

わたしは大幅な方向転換を躊躇うことはない。これは利益を上げてきた投資家としての誇りである。

トランプ大統領の政策については徐々に明らかになっている部分もあり、週末にでも纏めて説明記事を発表したいと考えている。選挙前までのトランプ氏の経済政策に関しては以下の記事などを参考にしながら、続報を待っていてもらいたい。