フランス大統領選挙: ルペン氏の人柄を示す痛烈な皮肉発言一覧

フランス大統領選挙の候補マリーヌ・ル・ペン氏については日本の読者も耳にしているだろうが、彼女がどういう人物なのかを詳しく知っている人は少ないかもしれない。反EU、反グローバリズムという彼女の政策、選挙公約も重要ではあるが、今回の記事ではより彼女の人物像に迫る彼女の発言を纏めてみたいと思う。

彼女の演説の特徴を一言で言えば、彼女の発言には皮肉が利いているということである。

とりわけヨーロッパの古いコミュニティでは機知に富んだ皮肉が言えることが知性の証とされる。アメリカ人のように直截な言い方しか出来ないのでは、社交界では認められないということであり、その意味ではルペン氏は保守派の有権者の支持を得るに値すると言えるのではないか。何にせよ、具体的に彼女の発言を見てゆこう。

ルペン氏の発言集

対立候補のマクロン氏について。Reuters(原文英語)より。

エマニュエル・マクロンは単に第二のフランソワ・オランド現大統領で、いわば権力にしがみつくフジツボのようなものだ。

ルペン氏の顔写真の額部分にナチスの鍵十字を書いて自分のコンサートで映し出した歌手マドンナ氏について。Telegraph(原文英語)。

歌の影響力が失くなったものだから、自分を話題にしてもらうために何をすればよいか分からなくなっているのだろう。

「あらゆる手段を使ってルペン氏の当選を阻止」することを呼び掛けた元サッカー選手のジダン氏について。Le Figaro(原文フランス語)。

それが彼の意見だということだ。わたしに何を言わせたいのか? サッカーのアドバイスならば彼に聞く価値があるかもしれないが、政治ならばどうだろうか。

彼の収入から考えれば何故彼がマクロン氏を支持するのかは理解できる。彼には莫大な金融資産があるから、自分の才能を使って得た富を守るために、マクロン氏を支持しているのだろう。

若者には皆、ジダン氏のようなサッカー選手かマクロン氏のような金融屋になるしか未来がないとでも言うのか? それは酷い話だ。

候補者のテレビ討論会で対立候補マクロン氏に。The Irish Times(原文英語)。

あなたは何とか七分間話し続けることが出来ましたが、その内容が何であったか要約することが出来ません。フランス国民に指摘しておきたいのは、あなたが話すときにはいつも、ある主張を少しだけ述べ、それと違う主張も少しだけ述べ、そして何の結論も出さないということです。あなたの本心が何を望んでいるのか、全く誰にも分かりません。それは憂慮すべきことです。

相手となる候補が親EU、親グローバリズムのマクロン氏であるということもあり、日程が5月7日に迫るフランス大統領選挙の決選投票ではルペン氏の反EU、反グローバリズム的主張がはっきりと論点となることになる。

グローバリズムの旗のもとにEUを含む国際機関というものがこれまで何をしてきたか、日本の読者も知っておくべきだろう。