イランがイスラエルをミサイル攻撃、金融市場への影響は?

4月13日、イランがミサイルと無人機によってイスラエル本土を攻撃した。今月1日にイスラエルが在シリア・イラン大使館を空爆し7人を殺害したことに対する報復である。

予想される金融市場の動向は

去年10月7日にガザ地区を実効支配するハマスがイスラエルを攻撃してからずっと懸念されてきたイランとイスラエルの直接対決が実現されてしまった形となる。

筆者はレイ・ダリオ氏などと共に紛争の拡大を予想していたが、それが残念ながら当たってしまったということになる。

金融市場はどうなるのか。今は週末で市場は開いておらず、週明けからの動きを予想するのは難しいが、今回の記事では10月7日のハマスによるイスラエル攻撃とその後のイスラエルによるガザ攻撃に対する金融市場の反応を振り返ってみることで、今回の市場の反応を予想する足がかりとしたい。

上昇した金相場

まず、金融市場の中で去年10月の紛争に一番反応したのは金相場だった。

当時の金相場のチャートは次のようになっている。

10月7日から急反発しているのが分かる。

まさに有事の金である。こういう反応を見るとゴールドが安全資産だということに納得させられる。

ちなみに他の貴金属はどうだっただろうか。比較対象として、最近解説もしているプラチナ相場の当時のチャートを載せておこう。

10月の価格推移は金相場の急上昇にしっかり反応していると言えるが、上昇幅やその後の上昇の強さなども含めてゴールドほど強いわけではない。

やはり戦争のようなリスクイベントに対しては、ゴールドのように実需のほとんど存在しない金融資産が、プラチナのように工業需要の強い貴金属よりも強いようだ。

ちなみにシルバーは実需と金融需要の割合に関してゴールドとプラチナの間にあると言えるが、シルバーの値動きはまさにゴールドとプラチナの間のような値動きとなっている。

原油価格は反応せず

一方で、読者も覚えているだろうが当時の原油相場は意外にもほとんど反応しなかった。原油価格のチャートは次のようになっている。

原油価格は10月以降むしろ下がっている。

この原油価格の推移は筆者にとっても驚きで、原油相場は中東情勢を過小評価しているとの声も上がった。

米国株もほぼ反応していない。S&P 50のチャートは以下の通りである。

10月7日のハマスによる攻撃後の数日はむしろ上昇しており、10月はその後下落、11月からは上昇に転じているが、それは中東の状況とは関係なく、Fed(連邦準備制度)の利下げ期待がこの辺りから盛り上がっていったからである。

結論

ということで、去年のハマスによる攻撃の時の相場を参考にすれば、中東の紛争に一番反応したのはゴールドだということになる。

原油価格はこの時は反応しなかったのだが、それはイスラエルとパレスチナの両方が原油の供給と直接の関係を持たないからだろう。

当時は、重要な産油国であるイランにこの紛争が波及するかが問題となっていたわけで、イランが直接関わってくるリスクが低かったことから原油価格は反応しなかった。しかし今回はそのイランが直接の当事者である。週明けどうなるかは分からないが、恐らくは原油価格への影響は避けられないだろう。

株価はどうなるだろうか。株式市場の影響についても去年とは違う点が2つある。1つは、今回の件が原油価格に影響するとすれば、原油価格上昇の影響を株式市場は避けられないということである。

今月発表された雇用統計とCPI(消費者物価指数)統計はともにインフレ再燃を懸念させる内容だった。

特にCPIの記事で筆者は今年に入っての原油価格の上昇をインフレ再加速の要因として指摘したが、もしイランによるイスラエル攻撃で原油価格が更に上がれば市場のインフレ懸念は更に高まり、利上げの現実味が増すことになる。

だから株式市場に与える影響も去年と同じというわけにはいかないだろう。具体的な動きは週明けの市場を見てみなければ分からないが、とりあえず現状で考えられることを取り急ぎ記事にしてみた。

中東の紛争の長期的な展望については以下の記事を参考にしてもらいたい。