DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏が、CNBCのインタビューで7月30日に発表されたFed(連邦準備制度)のFOMC会合の結果にコメントしている。
FOMC会合結果
トランプ大統領が強く利下げを要求する中、7月30日のFOMC会合でFedは政策金利を4.25%に据え置きすることを決定した。ウォラー理事とボウマン理事は据え置きに反対し、0.25%の利下げを主張した。
今回のFOMC会合は重要な経済統計の発表に挟まれていた。ガンドラック氏は次のように述べている。
GDP統計はかなり良かったが、それからFOMC会合があって、その後にサプライズだった雇用統計が来て状況をすべて変えてしまった。
今年の第2四半期の実質GDP成長率は前年同期比で2.0%で、四半期ごとの推移を見れば、関税前の輸入の駆け込み的増加で弱くなった第1四半期の落ち込みを取り戻す内容となっていた。
パウエル議長の記者会見
FOMC会合はその後に行われた。その内容についてガンドラック氏は次のように語っている。
パウエル氏は会合後の記者会見でかなりタカ派だったと感じた。
パウエル氏は質問への回答で、インフレデータを検証中だがそうでなければ利上げしていたかもしれないと言った。
質問は利下げに関してばかりで、利上げに関する質問などなかったのにだ。
厳密には、パウエル議長は「利上げをしないままでいることでインフレを検証中」だと言った。この発言には皆が驚いた。誰も利上げの話などしていなかったからである。
少なくともその時点では、経済が強いのでパウエル議長は多少強気なのだと誰もが考えていた。
しかしガンドラック氏は次のように続けている。
だがそれは瞬時に時代遅れに見えるようになった。雇用統計で25万人以上の雇用がデータ修正で消え去ったからだ。
今月の雇用統計では、失業率は4.2%と前月の4.1%からそれほど変わらなかったが、問題は過去のデータに大幅な下方修正があったことである。
それで、これまでの強い労働市場は実は存在しなかったということになり、債券市場では利下げの必要性が急に意識されるようになった。
今後の利下げ動向を織り込んで推移する2年物国債の金利は、次のように急落している。

ガンドラック氏は次のように言っている。
2年物国債の金利は金曜に0.25%ほど下落し、政策金利と2年物国債の金利に突然差が開いてしまった。
だから2年物国債は利下げを織り込んでいるということになる。
政策金利は4.25%であり、2年物の金利はそれよりも低いので、債券市場はそれだけの利下げを織り込んでいるということである。
今後の利下げ予想
実際の利下げはどうなるのか。ガンドラック氏は次のように述べている。
この状況はちょうど12ヶ月前に非常に似ている。9月の会合で、後から見れば7月の会合で利下げしておくべきだったということになったので、Fedは0.5%利下げしなければならなくなった。
そしてまた同じ状況に陥っている。
去年、Fedは9月に0.5%利下げを開始し、その後数回利下げをした。年末にかけて経済統計が弱く出たからである。
だがその後、年明けから経済データは持ち直し、Fedは利下げを停止することになる。
結論
ガンドラック氏は以前、年の後半は経済データが弱くなり、年の前半は経済データが強くなるバイアスがあると指摘していた。
実際にアメリカ経済がそう動いているということではなく、統計に何か欠陥があるという指摘である。
実際、雇用統計は修正が多く、投資家はそれをどれだけ信用して良いものか思案している。
もしガンドラック氏が指摘していたトレンドが続くのであれば、去年のように9月から利下げというのは有り得ることである。
また、スコット・ベッセント財務長官は年内にはパウエル議長の後任が発表されると言っているので、それも金利低下の要因になる。
アメリカの財政赤字の問題は解決されず、債務問題は金融緩和でなかったことにされそうである。その犠牲になるのは、ドルである。