Goldmoneyのジェイムズ・ターク氏がエゴン・フォン・グライアーツ氏によるインタビューで、ビットコインなど暗号通貨の価格について語っているので紹介したい。
ビットコイン相場
フォン・グライアーツ氏についてはこれまでゴールドについての記事で何度も取り上げているが、そのフォン・グライアーツ氏が長年の友人としてターク氏を取り上げている。
インタビューは主に金相場について語られているのだが、話がビットコインに移ったとき、2人の意見が割れた。
フォン・グライアーツ氏は断然ビットコインよりゴールド派なのだが、ターク氏はビットコインも上がると言っている。
ターク氏は次のように述べている。
わたしはかなり初期からビットコインをトレードしてきたが、2013年からもう何年もの間、ビットコインがいつか10万ドルに到達するとずっと信じてきた。
過去何年ものインタビューで何度もそう言ってきた。
そしてビットコインはついに10万ドルを超えた。
ビットコインの価格チャートは次のようになっている。

ビットコインはついに10万ドルの大台を超えた。だがターク氏は次のように続けている。
だが、ビットコインはここから更に上がるポテンシャルを持っている。
ビットコインが上昇する理由
ターク氏は、短期的な暴落はあるが、長期的にはもう何年も上がり続けているビットコインがこれからも上がると予想している。
その根拠は何なのか。ターク氏は次のように説明している。
現在、各国の紙幣が持っている購買力や、ゴールドやシルバーが持っている購買力を考えてみると、暗号通貨が持っている購買力、それはつまり時価総額という意味だが、それは世界の購買力全体から見てまだかなり小さい。
資産というのは、つまりそれを売れば何か別のものが手に入るというところに価値がある。つまり購買力である。
そして購買力とはつまり、その資産がどれだけの価値があるものだと評価されているかで判断できる。つまり、その資産の時価総額である。
そして世の中に存在するゴールドやビットコインの総額、つまり時価総額を他のものと比べると次のようになっている。
- ドル建て債券・ローンなど: 103兆ドル
- ゴールド: 23兆ドル
- NVIDIA: 4.3兆ドル
- ビットコイン: 2.3兆ドル
- シルバー: 2.1兆ドル
NVIDIAは米国株でもっとも時価総額が高い銘柄であり、ビットコインの時価総額はその1社に負けている。つまり、暗号通貨の市場規模はアメリカの株式市場に遠く及ばない。
長期的な資金の流れ
Bridgewaterのレイ・ダリオ氏はかつてビットコインは市場が小さすぎて機関投資家が参入できないと否定的だったが、ターク氏はむしろそれが伸びしろだと考えている。
そしてターク氏は、他の著名投資家と同じように、アメリカの債務問題によりアメリカは通貨の価値を薄めざるを得なくなると考えている。
そして注目してもらいたいのは、ドル建ての負債(それは誰かが資産として持っている)が103兆ドルあるのに対し、ゴールドはまだ23兆ドル、ビットコインは2.3兆ドルだということである。
つまり、これからドル紙幣の購買力が失われ、人々がそれに気づいたとき、この103兆ドルがゴールドの23兆ドルとビットコインの2.3兆ドルに流れ込んでくるというわけである。
ターク氏は次のように述べている。
そして紙幣への信頼が失われてゆき、人々が紙幣を捨ててより安全な資産を探すのであれば、もちろん人々はゴールドやシルバーを選ぶだろうが、彼ら、特に若い人々は暗号通貨も同時に選ぶだろう。
だから暗号通貨の価格にはここからまだ上昇の余地がある。
結論
これは同時に、ゴールドやシルバーの長期的な動向を予想するための方法でもある。今ゴールドを怒涛の勢いで買い増しているのは各国の中央銀行や一部の投資家だが、ダリオ氏などはこれから一般の人々も紙幣を捨ててゴールドに走る瞬間が来ると予想している。
そしてターク氏は、その資金の流れはビットコインなど暗号通貨にも恩恵を与えると言っているのである。
もちろんこれは長期の動向の話であって、短期的には暗号通貨は上にも下にもジェットコースターだろう。だがこういう長期的な観点から資産クラスを見ることは非常に重要である。