DoubleLine Capital創業者のジェフリー・ガンドラック氏がCNBCのインタビューで、上昇している金相場と長らく不調のビットコイン相場にコメントしている。
ドルからの逃避
2026年のテーマは、世界的なドルからの逃避である。ガンドラック氏は次のように言っている。
ドルはもう長らく安全な通貨としての振る舞いをしていない。
Bridgewaterのレイ・ダリオ氏も2026年について同じことを言っていた。
実際、ドルは2025年から下落している。他の通貨に対するドルの強さを表すドル指数のチャートは次のようになっている。

2025年から大きく下がっている。日本人がこれに気づいていないのは、ドルと同じように日本円も下がっているからである。ドルと円を比べるドル円しか見ていない多くの日本人は、ドルと円が両方下がっていることに気付かない。
もはや安全ではないドル
ガンドラック氏は、このドルの下落トレンドについて次のように語っている。
2000年からこれまで、S&P 500には13回かそれ以上の大きな調整があった。最初の12回においては、ドルは平均して8%から10%上昇した。12回すべてだ。
ドルは、株式市場が下落した時に買われる通貨だった。株式が下落すれば、その資金は預金口座に逃げる。つまりドルの需要が高まり、よりリスクの高い他の通貨に対して上昇する。
それが株価下落時の当たり前のシナリオだった。だがガンドラック氏は次のように続けている。
だが去年の3月から4月にかけての最後の1回、S&P 500が大きく調整した時には、ドルは上昇しなかった。ドルは8%から10%ほど下落した。
上のドル指数のチャートを見れば分かるが、むしろその期間からドルの下落は本格化したと言える。
新たな安全資産
2025年以降、ドルは安全資産として機能しなくなっている。そしてその代わりにその役割を果たしているものは何か? ガンドラック氏は次のように説明している。
そして代わりに安全資産となっているのは、現物資産のようだ。
それは明らかにゴールドとシルバーだ。そして、ビットコインではない。ビットコインは下がっている。
ゴールドとシルバーについては、ここの読者には言うまでもないだろう。金価格は物凄い上昇ぶりである。

そして銀価格も去年からそれに続き始めた。

ここではもう2年も前から貴金属を推してきたのである。2024年の記事に以下のように書いておいた。
それが厳密にいつかは分からない。だがシルバーの積み立てを数十年続けるのであれば、いつかのタイミングで貴金属相場が1970年代の再現になることはほぼ間違いないように思える。
ビットコインの下落
さて、しかしより重要なのはガンドラック氏のビットコインへのコメントである。
ガンドラック氏は、ゴールドやシルバーとは違ってビットコインはドルの代わりになっていないと言っている。実際、値動きはそうなっていない。
ビットコイン価格のチャートは次のようになっている。

ゴールドやシルバーと比べるとそのパフォーマンスの違いは明らかだろう。
ガンドラック氏は次のように述べている。
驚くべきことだ。これまでのビットコインへの熱狂は何処へ行ったのか、金価格が過去12ヶ月で90%上がっている時に、ビットコインは下落している。
結論
ドルから資金が徐々に流出してゆく中、紙幣の代わりになるために作られたはずのビットコインはドルの代わりになっていない。
ガンドラック氏は、この状況について次のように解説している。
これは何かの兆候だ。不透明な未公開株市場が大きく下落していることとも関係があるだろう。投資家は「形あるもの」を求めている。そして浮ついたものから手を引こうとしている。
ヘッジファンドマネージャーの間で長らくもてはやされていた未公開株が暴落しているが、ガンドラック氏はそういう浮ついた資産からゴールドなどの確かな資産へと投資家の興味が移っていると言っている。
それが事実ならば、「紙幣の代わり」としての暗号通貨という立ち位置は考え直さざるを得なくなるだろう。
また、そもそも何故ドルから資金が流出しているのか? イランのハメネイ氏が暗殺されたようだが、そういう状況も含め、アメリカから距離を起きたがっている国が増えており、そういう国の中央銀行が外貨準備のドルを売ってゴールドに持ち替えているからである。
Bridgewaterのレイ・ダリオ氏が著書『世界秩序の変化に対処するための原則』で解説しているところによれば、これは基軸通貨ドルの衰退の始まりであり、それはまだ始まったばかりだという。
ダリオ氏はこの本で、大英帝国のポンドやオランダ海上帝国のギルダーがどのように基軸通貨の座から緩やかに落ちていったのかも解説してくれているので、未読の人は読んでおくことをお薦めしたい。
