ガンドラック氏の米国株予想: S&P 500はダブルトップを形成して下落する

引き続き、DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏の自社配信から今回は米国株の見通しについて語っている部分を紹介しよう。

再上昇した米国株

米国株はいまどういう状況だろうか。ガンドラック氏はアメリカの主要株価指数S&P 500について次のように語っている。

S&P 500は確か2022年1月4日に天井を付けたと思うが、2年後の今、株価は基本的にほとんど同じ場所にいる。

S&P 500のチャートは次のようになっている。

米国株は金利上昇で一旦下落したが、金利上昇はやはり問題なかったという体で株価は再上昇している。

この状況をガンドラック氏はどう見ているか。彼は次のように述べている。

この状況は株式を保有するにはかなりまずい水準だ。

わたしは11月のFOMC会合の時に株式を保有するのに良い状況だとテレビで言ったが、ダブルトップを形成しようとしている今はかなり悪い状況に見える。

1株当たり利益の成長率

米国株は去年の終わりから新年にかけて上昇した。史上最高値付近まで上がってきている今の株価をガンドラック氏が良くないと見る理由は、企業利益である。

ガンドラック氏は次のように説明している。

2023年にはS&P 500の1株当たり利益はほとんど成長しなかった。成長率は1%だった。

それは間違いなく高金利のせいである。そして金利はいまだに高い。だがアナリスト予想では2024年以降はS&P 500の1株当たり利益は成長を取り戻してゆくことになっている。

ガンドラック氏はそれに異を唱えている。彼は次のように説明する。

2018年と2021年の例外を除けば、利益のアナリスト予想は基本的に常に過大評価で、後に下方修正される。

特に2023年はそうだった。その期間の2年前に2023年に向けての最初の予想が発表されたとき、2023年の利益の成長率の予想は10%だった。というか2年前に発表される最初の予想はほとんどの場合10%から始まる。

だがそれは結局1%まで落ちてきた。

そして今、2024年と2025年の利益の成長率の予想は11%や12%になっている。いつも同じ数字だ。

利益のアナリスト予想は、まだ遠い未来を予想する場合、成長率が何故かいつも大体10%になる。はっきり言ってしまえば、遠すぎて不確定だから10%ぐらいで良いだろうという気分的な根拠で決められている。

だが問題はそれが実現するかどうかである。ガンドラック氏は次のように続ける。

わたしの予想では五分五分以上の確率、恐らくは75%の確率で今年アメリカ経済は景気後退になるが、利益の予想がこのように前向きな中でもし景気後退になれば、いつものように利益に下方修正が起き、S&P 500は現在のダブルトップを維持することが難しくなるだろう。

結論

ということで、ガンドラック氏は米国株に弱気のようだ。

だがガンドラック氏の株価予想は、景気後退がもうすぐ来るという予想に基づいたものである。景気後退が来る場合、その半年ほど前から株価が下落に転じることが多い。

だが他の投資家は他の景気後退タイミングを予想している。例えばスタンレー・ドラッケンミラー氏の景気後退予想はガンドラック氏よりも遅い。だから彼の株式に対する相場観は、ガンドラック氏とは多少違うかもしれないということになる。