「為替相場」カテゴリーアーカイブ

4月28日日銀決定会合結果: 追加緩和見送りで円高株安となった理由

4月27日から28日にかけて、日本銀行は金融政策決定会合を開催し、量的緩和やマイナス金利など金融緩和の現状維持を決定した。これを受けて株式市場とドル円が急激に下落する反応を見せており、これははっきり言って意外であった。日銀のやることなどもう誰も気にしていないと思っていたからである。

この動きはいくつかのことを示唆しているが、先ずは金融市場の動向から見てゆこう。先ずはドル円のチャートである。

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2016年、日銀に残された追加緩和の手段とその影響を議論する

黒田総裁は表面上平静を保っているが、2015年末より明らかに日銀の金融緩和が市場に効いていない。このことについては以前より報じている通りである。

では日銀はもう効果的な追加緩和が出来ないのか? そうかもしれない。しかし効く効かないにかかわらず、手段が完全に枯渇したわけではない。この記事では可能性のあるあらゆる追加緩和の手段について網羅し、金融市場や経済への影響を考察したい。

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ドル円反発は本物か? 2016年、円安は再び長期トレンドになるか?

ドル円が反発している。これまでに指摘してきた通り、金利先物市場が織り込む2016年の利上げ回数がゼロというのは行き過ぎだったのであり、市場が再び利上げを織り込み始めているのである。現在の金利先物市場の織り込みは1回となっている。これでもFed(連邦準備制度)の主張する2回よりは少ないが、いずれにせよ今年の利上げ回数は1回か2回だろうと予想している。

このまま米国が利上げを行えばドルは上がり続け、ドル円は長期的にも上昇してゆくのか? この記事ではもう一度、ドル円の見通しを確認してみたい。

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2016年円高の原因: ドル円暴落を予想すべき理由と、米国利上げ見通しについて

まだドル円の上昇を長期トレンドと信じている投資家も居るのかもしれないが、そろそろ真逆の見通しを真剣に考え始めるべき頃合いだろう。

ドル円に関しては2015年末よりドル高トレンドは反転すると主張してきたが、最近の動向を見ていると、量的緩和が行われている円やユーロがむしろ買いである可能性があると思うようになってきた。つまりドル高が終わりを告げるだけでなく、円安も危ういということである。両サイドからの圧力はドル円にとって厳しい状況となるだろう。

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3月の米国FOMCは利上げなし、結果発表後の世界の金融市場チャートを見る

3月15日から16日まで行われた米国FOMCの金融政策決定会合では、政策金利の維持が決定された。決定は満場一致ではなく、カンザスシティ連銀総裁のジョージ氏が0.25%の利上げを主張したが否決された。ジョージ氏はタカ派で知られる。

発表された声明は下記の記事で取り上げた1月のものとあまり変わっていないが、原油価格や株式市場が反発したにもかかわらず、「世界経済と金融市場の動向は引き続きリスクとなっている」との表現を記載し、1月に引き続き市場への配慮を示した。

現在の市場の回復を考えれば、個人的にはFed(連邦準備制度)はもっとタカ派になって良いと考えていたので、その予測からすれば今回の発表はハト派ということになるだろうか。市場もそのように受け取ったようであり、ドルが下落、金価格などが上昇している。順にチャートを見てゆこう。

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ECBが利下げ、量的緩和拡大: 追加緩和後の世界の金融市場のチャート

3月10日、ECB(欧州中央銀行)は政策決定会合を行い、マイナス金利の更なる利下げと量的緩和拡大の追加緩和を発表した。市場予想も上回る満額回答の緩和プランだったのだが、市場の反応はユーロが反発、欧州株は下落というネガティブな結果であった。

2015年後半からの世界同時株安以降、中央銀行の存在感はほとんど市場に無視されており、今回の結果は驚くほどではないが、量的緩和の拡大という明らかな追加緩和が市場に無視されたという事実は、やはり相場の重要な転換点を暗示しているのだろう。

本稿では今回の追加緩和の詳細とその後の市場の動きを俯瞰したうえで、それらが2016年の相場に対して持つ意味を考えてゆきたい。

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2016年ドル円の推移予想: 下落は円高ではなくドル安が原因、そしてドルの見通しは暗い

2016年始めからの世界同時株安を受け、ドル円の動きが低迷している。去年から言い続けてきた通り、今年の相場のキーワードはドル高反転であり、そもそも未だに「アベノミクスによるドル円上昇」という古いトレンドにしがみついている投資家はその時点で間違っているが、ここの読者であればその心配はないかと思う。

しかしながら、それでも日本の友人たちから良く聞かれるのはドル円の相場見通しであり、個人的にはドル円という美味しくない通貨ペアをどうこうするつもりはないのだが、それでも考察は可能であるので、ドル円の動向とレンジ予想について記事を書いてみたい。ポイントは、どれだけ円安になるかということと、ドル高がいつまで続くかということを明確に分けることである。

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日銀のマイナス金利のあとドル円と日経平均が下落した理由

1月29日に日銀は追加緩和としてマイナス金利の導入を発表した。発表から1日ほどの間は市場も円安株高で反応したが、ドル円はそのあと数日で追加緩和後の上げ幅を超えて下落、2月4日には一時117円付近まで下落した。

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チャートもやや奇妙な形だが、その理由は明快であり、マイナス金利後のドル円上昇は円安、その後の下落はドル安と、それぞれ理由が異なるからである。

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日銀追加緩和: マイナス金利の実体経済への影響、ドル円と株式市場はどうなるか?

2016年1月29日、日銀は金融政策決定会合にてマイナス金利の導入を決定した。これまでの量的緩和政策に変更はなく、金融緩和としてマイナス金利を追加したものとなる。取り急ぎではあるが、株式・為替市場と実体経済にどのような影響があるかを列挙してみよう。

先ず、量的緩和を使おうと、マイナス金利を使おうと、日銀に出来ることは以下の2つしかない。 続きを読む 日銀追加緩和: マイナス金利の実体経済への影響、ドル円と株式市場はどうなるか?

2016年1月始めの世界同時株安とドル円下落の原因について

2016年の基本的な戦略については既に書いたが、市場の動きが激しくなってきたので追記したい。

2016年の市場が始まって以来、株式市場は下落し、また為替市場ではドル円が下落している。年始には120円を超えていたドル円は、現在118円前半で推移している。

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