ギリシャ問題、ツィプラス首相の発言一覧 (6/29)

国民投票を7月5日に控え、ギリシャのツィプラス首相がTwitterにてギリシャ国民と全世界に向けてコメントを発信している。現地時間で6月29日の分を以下に抜粋して翻訳してゆく。

ギリシャ国民はこれまでの債権団との経緯について自分の意見を表明する。その声は聞き届けられるだろう。

ツィプラス首相は国民投票の結果を債権団との交渉材料として使いたいようである。以下のコメントを見よう。

債権団との対話が再開されたとき、国民投票の結果によってギリシャはより有利な立場で交渉に望むことができる。

投票率が高いほど、そして債権団の要求を拒否することを選ぶ国民が多ければ多いほど、債権団との交渉でのギリシャの立場は強くなるだろう。

国民投票のあと、債権団が交渉に応じ、ギリシャに対して譲歩をしてくれるというのが、ツィプラス首相とギリシャ国民が望む結末なのだろう。

国民投票の結果がどうなろうとも、政府はそれを尊重する。

ギリシャでは国民投票は法的拘束力を持たないため、問題は政府がそれをどう扱うかということである。国民投票が債権団の要求を拒否した場合、ツィプラス首相は先ずそれを債権団との交渉のカードとして使うだろう。債権団が譲歩を拒んだ場合は、首相が国民投票を尊重するかぎり、デフォルトということになる。

デフォルトとなった場合、理論上ギリシャがユーロ圏に残ることは可能であるが、政治的・経済的にはほぼ不可能に近い。支援が得られない状態でユーロ圏に残る経済的インセンティブはギリシャには無く、また事実、弱い自国通貨なしにはギリシャ経済は回復できないだろう。

ギリシャはユーロ圏に残りたい。ギリシャは欧州の客人ではない。ギリシャは欧州の核(原文: heart)である。

われわれは債権団との交渉に固執する。われわれは実現可能な解決策を求めている。

ツィプラス首相の意図を考えると、国民投票でギリシャ国民は債権団の要求を拒否することになるのではないかと思う。その際、ドイツを始めとする債権団が交渉に応じるかどうかだが、恐らくドイツは応じるだろう。

ドイツのメルケル首相には難しい局面となる。ヨーロッパが民主主義を標榜する以上、国民投票というギリシャ国民の意思表示を無視することは難しい。しかし国民投票を受けて単にギリシャに譲歩するのでは、メルケル首相の面目は丸つぶれだろう。

単なる譲歩ではなく、ドイツの面目を保ったうえでギリシャの国民投票を尊重するような外交的解決策が出てくれば、ギリシャはユーロ圏に残ることができる。個人的にはこのシナリオに傾き始めている。

国民投票までは時間があるのだから、焦らず状況をフォローしてゆきたい。金融市場は荒れているが、ユーロはそれほど動いておらず、ギリシャ問題を口実にした調整である。金融市場の動きについては前回の記事を参考にしてほしい。