引き続き、ジョージ・ソロス氏のクォンタム・ファンドを運用していたことで有名なスタンレー・ドラッケンミラー氏の、Morgan Stanleyによるインタビューである。
今回は金相場と銅相場について語っている部分を紹介したい。
ドラッケンミラー氏のドル下落予想
前回の記事でドラッケンミラー氏は、貿易赤字と外国人の持つ米国債への利払いの観点から、ドルは自然落下せざるを得ないと述べていた。
Bridgewaterのレイ・ダリオ氏もそうだが、多くのヘッジファンドマネージャーにとって2026年のテーマはドルの下落である。
だが、財政問題を金融緩和で解決しようとしているのはアメリカのトランプ政権だけではない。ドルが下がるからといって、円やユーロも上がるとは言えない中、ドル円やユーロドルでドル売りするのは最善手ではない。
ドルの代わり
そこでドルの代わりとして一番注目されているのはゴールドである。少なくとも、ドルを保有して米国政府から経済制裁を受けたくない国の中央銀行は外貨準備のドルを売却してゴールドを買っていて、金価格上昇の主な理由はそれである。

ここでもゴールドとシルバーの推奨記事を2年前から書き続けている。
だが、ドラッケンミラー氏の推しはゴールドでもシルバーでもないらしい。
ドラッケンミラー氏は次のように述べている。
われわれは銅を保有している。
ゴールドとシルバーと銅の違いは何か。ゴールドは、通貨の代わりとして扱われる側面が大きく、エネルギー資源や農作物などの他のコモディティ銘柄よりも金融政策に反応しやすい。
シルバーはゴールドに近いが、ゴールドより産業用途に影響されやすく、実体経済の景気の影響を受けると言える。
卑金属である銅は、それよりも更に実体経済寄りである。銅は建設や電気製品に使われる。電気製品というのは、銅線の原料だからである。
ドラッケンミラー氏が銅を好んでいるのは、前回の記事で言っていたように経済政策を考慮すれば実体経済に強気だということに拠っているのだろう。
銅とAI
また、銅の需要と供給について次のように述べている。
これは独創的なトレードではなく、むしろ市場のコンセンサスだが、銅の大した供給はこれからありそうになく、供給は今後8年ほど極めて引き締まるだろう。
そしてもちろん、AIとデータセンターからの後押しもある。
銅が銅線や電線に使われるということは、銅がAI銘柄でもあるということである。AIは大量の電力を消費するため、AI需要によるデータセンターの大量建設で莫大な電力が必要となることが予想されているが、それは同時に電気配線に使われる銅も必要となるということである。
銅の価格は次のように推移している。上がってはいるが、ゴールドやシルバーほどではない。

ちなみにドラッケンミラー氏はゴールドについては次のように述べている。
ゴールドも保有している。主に地政学に関するトレードで、貨幣価値の下落に関するトレードというわけではあまりないが。
いずれにせよ、先進国がみな財政問題を金融緩和で解決しようとしていることで、通貨の代わりとしてのコモディティ銘柄が注目されているようだ。
日本の投資家は金属やエネルギー資源などのコモディティ銘柄にはあまり詳しくないかもしれないが、入門書としてはジム・ロジャーズ氏の『商品の時代』を挙げておきたい。古い本だが、コモディティ銘柄に投資する時には何を考えれば良いかを解説してくれている。
