ガンドラック氏の金価格推移予想: 政府債務はインフレで返済へ

債券投資家のジェフリー・ガンドラック氏が2021年の金相場についての予想をWeb配信で話しているので紹介したい。

コロナ禍におけるコモディティ価格高騰

コロナ禍における金融緩和と現金給付によりアメリカでは物価高騰の初期症状が始まっており、貴金属や燃料、穀物などのコモディティ価格が高騰している。このことについては去年秋より報じている。

しかしその中で長らく低迷していたのがゴールドだった。金価格は去年夏に高騰した後長らく下落トレンドを続けている。

以下の銅価格と比べると特に去年後半のパフォーマンスは歴然である。銅価格は中国の需要回復などを材料にコモディティの中でも高騰している。

ガンドラック氏も政府による資金注入に反応しているのはビットコインであり、ゴールドではないようだとコメントしていた。

ガンドラック氏の金価格予想

しかし2021年、状況は変わるかも知れないとガンドラック氏は言う。彼は火曜日のWeb配信で次のように述べている。

ゴールドは月曜の引けに1,681ドルまで下落した。しばらくの間これが金価格の底値になるかもしれない。

長らくゴールドに中立だったガンドラック氏が再びゴールドに注目している。他のコモディティが軒並み上がっているにもかかわらず、ゴールドだけ下落を続けるというのは考えづらいだろう。ガンドラック氏は次のように続ける。

ゴールドは反発する可能性が高い。これまでかなり激しく売られたからだ。

その背景にあるのはやはりインフレ懸念である。短期的にどのコモディティが良いかは議論の余地があるだろうが、長期的にはビットコインを含めほとんどのコモディティが上昇トレンドを継続するだろう。ガンドラック氏は次のように述べている。

長期的にコモディティに非常に強気だ。そしてドルには非常に弱気だ。

ドルが暴落すればドル建てでものの値段が上がる。長年世界経済の頂点に君臨したアメリカの時代が終わろうとしている。

債務膨張相場の終わり

結局のところ、今金融市場で行われているのは膨大に積み上げられた政府の借金の後始末なのである。そもそも政府は何故インフレを好むのか。ガンドラック氏は次のように説明している

中央銀行はインフレ率が3%を超えても心配することはないと言っているが、実際には彼らは心配するどころかインフレ率が金利よりも高くなることを歓迎するだろう。

彼らはマイナス金利を好む。何故ならば、マイナス金利は膨大な赤字と返すあてのない債務という米国の問題を解決してくれると彼らは知っているからだ。

マイナス金利と高インフレは債務をオフセットする。戦後のドイツがハイパーインフレで借金を帳消しにしたように、インフレ率が上がれば政府の借金は実質的に帳消しになる。またマイナス金利であれば借金をしている側が金利を払うどころか、金利を貰えるということになる。

そして誰に対する借金が帳消しになろうとしているかと言えば、国債の保有者である。国債を保有しているのは実質的には(銀行を通して)預金者であるので、犠牲となるのはほとんどの国民である。

インフレ政策を支持するということは自分の貯金が消えてなくなることを支持するということである。政府が有権者の財布と引き換えに自分の借金をチャラにしてもらおうとすることを国民の多数派が支持している。馬鹿ばかりである。インフレ政策に科学的根拠を示した人間がこれまで1人でも居ただろうか。

しかし投資家はコモディティに投資することによってインフレを逃れることができる。金、銀、銅、原油、天然ガス、大豆、とうもろこし、砂糖、そしてビットコイン。

長期的にはどれも上昇するだろうが、短期的な値動きは色々だろう。これまで調子の悪かったゴールドが快進撃を続けることもあるかもしれない。

ビットコインは本当に休みなく上がり続けるのだろうか。長期的な目標価格にはまだまだだが、それにしても凄い勢いである。