ドラッケンミラー氏、2020年大統領選のトランプ氏敗北と株価暴落を予想

少し気が早いが、ジョージ・ソロス氏のクォンタムファンドを率いたことで有名なスタンリー・ドラッケンミラー氏が2020年の大統領選挙について予想しているので、紹介したい。CNBC(原文英語)が伝えている。

ドラッケンミラー氏の大統領選予想

ドラッケンミラー氏は、2016年から始まったトランプ相場をもっとも早く正確に予想した著名投資家である。

これは11月8日の大統領選挙の数日後の発言である。当時、トランプ氏が当選すれば株価は下落するとする見方が大手メディアの間では主流だった。また、その後の株高でドラッケンミラー氏がどのような銘柄で儲けたかは次の記事で紹介している。

さて、そのドラッケンミラー氏が2020年のアメリカ大統領選挙について語っている。現在アメリカでは民主党の候補が誰になるかということに注目が集まっている。トップを走っているとされているのがジョー・バイデン元副大統領であり、その後に2016年にヒラリー・クリントン氏に破れたバーニー・サンダース氏などが続いている。

民主党の候補が誰になるかによるだろうが、2016年の選挙ではトランプ氏はかなりラッキーだった。彼は7つの州で0.5%以下の得票率の差で勝利している。しかしペンシルベニアやミシガンやウィスコンシンでは、トランプ氏の支持率は現在かなり困ったことになっている。しかも、この状況は3%の経済成長率のもとで起きているのだ。

株式市場の波乱にもかかわらず、アメリカの経済成長率は未だ高い水準を維持している。ドラッケンミラー氏によれば、にもかかわらずいくつかの重要な州でトランプ氏の支持率が振るっていないという。

民主党が何人か居る(何人居たのかよく覚えていないが)クレイジーな候補を選ぶのでなければ、トランプ氏は敗北することになると想定している。金融市場はトランプ氏が勝つと想定しているようだ。

「クレイジーな候補」とはバーニー・サンダース氏やエリザベス・ウォーレン氏らのことだろう。サンダース氏は最低時給の15ドルへの引き上げ、ウォーレン氏はGoogleやAmazonなどIT企業の解体を主張している。

特にサンダース氏は2016年の民主党補選で、一般の民主党支持者からの得票についてはクリントン氏以上の得票を見せたにもかかわらず、民主党の政治家からの得票を得られずクリントン氏に敗退した。トランプ氏の相手となったのがクリントン氏ではなくサンダース氏であったならば、2016年の大統領選はどうなっていたか分からない。この辺りの経緯は大統領選挙後の以下の記事に詳しく書いている。

しかしサンダース氏には思わぬ逆風がある。庶民の味方として人気の高かったサンダース氏は、2016年の大統領選で有名になったことによって著書がベストセラーになり、自身が大金持ちになってしまったのである。別に悪いことではないのだが、庶民的な候補が庶民的な有権者の支持を受けるという構図は崩れてしまった。そして2016年のように、一般有権者の支持を受けても民主党の候補になれないリスクもある。

ただ、サンダース氏が勝利した場合、株式市場には非常に大きなマイナスになるとドラッケンミラー氏は指摘している。

もしバーニー・サンダース氏が大統領になれば、株式市場は現在の水準から30%から40%ほど下落するだろう。

ドラッケンミラー氏はサンダース氏でなくとも民主党候補が勝った場合には株式市場は下落すると予想している。

2020年の大統領選はどうなるだろうか。個人的にはバイデン氏がトランプ氏に勝てるとは思えないのだが、本格的な予想をするためにはもう少し直前になってから各州における支持率を分析してみる必要があるだろう。ただ2016年に大統領選挙を一番客観的に見つめていたドラッケンミラー氏の予想は一考に値すると思われる。