ジョージ・ソロス氏、2020年内のバブル崩壊を予想

前回の記事で予告したジョージ・ソロス氏の相場コメントである。1月の世界経済フォーラム(通称ダボス会議)のもので少し古いが、現在のマーケットには完全に適した内容だろう。

ソロス氏の2020年の相場観

ソロス氏は毎年相場に関するコメントが少なくなり、政治活動にばかり精を出しているようである。しかしそれでも今年は少しマーケットについて語った。

トランプ氏の経済対策チームは既に過熱気味だった経済を更に加熱させることに成功した。

米国株は今も史上最高値付近にあるが、ソロス氏は現在の状況を過熱だと断定している。多くの機関投資家は同じように言うだろう。危惧を持たないのは自分の任期の後は気にしなくて良い政治家と中央銀行家だけである。思えばヘッジファンド・マネージャーは一般的にバブル経済に批判的なのだが、市場が暴落すると低金利を断行した政治家などに暴落の原因として槍玉に挙げられるわけである。

さて、米国株を見ているとこのバブルがいつまでも続くかのようだが、ソロス氏はこの状況は続かないと主張している。

株式市場はトランプ氏の軍事的成功(訳注:イランのことだろう)などもあって高値を更新し続けている。しかし加熱した経済をあまりに長い間加熱させ続けておくことはできない。

ここまでであれば月なみなコメントだが、ソロス氏は政治にかこつけてこの過熱の終わる時期を口にしている。

この上げ相場が大統領選挙の直前に起こっていたら、トランプ氏の再選を保証しただろうに。

トランプ氏にとっての問題は大統領選挙までまだ10ヶ月あるということだ。目まぐるしく動く相場の世界では、10ヶ月は一生涯にも近い長さである。

つまり、大統領選挙のある2020年11月までにこの過熱相場は終わる可能性が高いとソロス氏は主張しているのである。

ソロス氏の最新ポジション

ではソロス氏の実際のポジションはどうなっているだろうか? 前回に引き続き機関投資家の米国株買いポジションを開示するForm 13Fを参照したい。前回の記事で述べた通り、ソロス・ファンド・マネジメントの最近のForm 13Fは中身がほとんどない。ETFでマクロ的なポジションを組んでいるわけでもなく、ひたすら買いポジションを減らしている。

そこで今回はForm 13Fに含まれているソロス氏のポジション総額を時系列順に並べてみたい。

  • 2018年3月末: 62億ドル
  • 2018年6月末: 62億ドル
  • 2018年9月末: 46億ドル
  • 2018年12月末: 33億ドル
  • 2019年3月末: 43億ドル
  • 2019年6月末: 43億ドル
  • 2019年9月末: 36億ドル
  • 2019年12月末: 31億ドル

数字感覚のある読者にはお分かりかと思うが、これはあまりに少ない。ソロス氏のファンドはそもそも数百億ドルを運用しているはずだからである。最新の31億ドルではその1割にも満たない。5年ほど遡ってもソロス・ファンド・マネジメントの米国株買いポジションがこれほど少なくなったことはないのである。

ソロス氏が上記の相場観通り米国株に弱気で、その通り自分のポートフォリオでも米国株の買いを最小限にしていると言えば当たり前のことである。しかしその言葉を鵜呑みに出来ないのは、ソロス氏は2016年にトランプ大統領憎さで米国株を空売りし、大失敗しているからである。

今回も同じことだと言うことは出来る。しかし2018年の世界同時株安の頃よりも更に少ないソロス氏の買いポジションは、やはり不気味である。

因みにソロス氏のファンドで働いていたスタンレー・ドラッケンミラー氏は真逆のポジションとなっている。そちらも参考にしてほしい。