引き続き、DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏のBloombergによるインタビューである。
米国株のバブル
米国株がバブルだという意見が多くなっている。だが、それは必ずしも米国株がすぐ下落するという話ではない。
例えば、ポール・チューダー・ジョーンズ氏は、今の米国株市場を2000年のドットコムバブル崩壊の前年である1999年に例えて次のように言った。
1999年のようだ。そうだろう? 1999年とまったく同じ雰囲気だ。厳密な繰り返しになるかどうかは分からないが、すべての材料は既に整っている。
ジョーンズ氏が2000年ではなく1999年だと言ったことには大きな意味がある。バブルはまだ崩壊せず、天井に向かって上がり続けるとジョーンズ氏は予想している。
バブル崩壊を予想する
バブルを察知することは、素人の人々が思っているより簡単である。リーマンショックはいつか崩壊すると考えていた人は金融業界には少なくない。ジョージ・ソロス氏は著書『ソロスは警告する』でリーマンショックを事前に予想していた。
だがそれでも実際にいつ崩壊するのかを当てることは容易ではない。ガンドラック氏は次のように言っている。
仮にあなたの予想が正しかったとしても、その予想が実現するまでにはあなたが思うよりかなり長い時間がかかることがある。
わたしは不動産ローンのまとめ売りに対して2004年には否定的な考えを持っていた。そのバブルが単に崩壊を開始するまでででさえ、3年の年月がかかった。
ガンドラック氏が言っているのは不動産ローンの証券化が株価の暴落に繋がったリーマンショックのことである。リーマンショックでは、2007年に住宅バブルが崩壊を始め、その後リーマンショックは2008年に起こった。
ガンドラック氏は更に2000年のドットコムバブルの例を挙げて次のように言っている。
わたしは1999年9月30日に、Nasdaqに対して最大限に弱気派になった。3ヶ月後、自分は本当に馬鹿みたいだった。1999年の最終四半期にNasdaqの株価は80%上昇したからだ。
だが、1999年の9月30日にNasdaqを空売りすれば、18ヶ月後には利益は64%になっていた。そこから3ヶ月で80%上がったにもかかわらず、その後の15ヶ月にそれだけ暴落したということだ。
ドットコムバブル前後のNasdaqの株価チャートは次のようになっている。

当時のITバブルが崩壊するというガンドラック氏の予想は正しかった。だがそれでもタイミングを厳密に当てることは容易ではない。3ヶ月前というのは、それほどタイミングを間違ったわけでもない。
だがバブルにおいては最後の数ヶ月に急激な上昇を見せることもある。だから、かなり厳密にタイミングを予想できなければ短期的には大損する可能性があるのである。
結論
現在のAIバブルは、ドットコムバブルにかなり近い状況にある。AIが将来使われないと言っているのではない。むしろ使われるだろう。だが2000年には、将来使われるはずのAmazon.comでさえ、株価が紙切れになったのである。
AI関連銘柄については以下の記事を参考にしてもらいたい。
また、ドットコムバブルについてはスタンレー・ドラッケンミラー氏も似たような経験をしていた。以下の記事のエピソードは、天才ドラッケンミラー氏らしいトレードである。
そしてリーマンショックについては、ジョージ・ソロス氏がかなりタイミング的にも優れた予想を著書『ソロスは警告する』に載せていた。
ソロス氏は本の中で2007年に次のように書いている。
2007年春、ついに終わりのはじまりがやって来る。住宅ローン大手のニュー・センチュリー・ファイナンシャル社が、サブプライム問題が原因で倒産したのだ。
そこから先は、私のバブルのモデルでいう「黄昏の期間」である。住宅価格が下がりはじめているにもかかわらず、ゲームの終了が読み取れない参加者が、まだ大勢残っている段階だ。
2026年の米国株はどうなるだろうか。ソロス氏がリーマンショックを予想した方法は、未読の人は是非読んでおくべきだろう。
