ドラッケンミラー氏: どうやってヘッジファンドを始めたか

ジョージ・ソロス氏のクォンタム・ファンドを運用していたことで有名なスタンレー・ドラッケンミラー氏が、How Leaders Leadのインタビューで自分のヘッジファンドを始めた時のことを語っている。

銀行員ドラッケンミラー氏

前回までの記事では若きドラッケンミラー氏が自分のヘッジファンドを創業する前、銀行で働いていた時期のことを紹介した。

さて、銀行に勤めていたドラッケンミラー氏がニューヨークで金相場についてのプレゼンテーションをしたとき、ある人が近づいてきて次のように言った。

銀行員とは思えない話しぶりだな。

これは、資産運用業界に居ない人に通じるかどうか分からないが、褒め言葉である。金融業界では相場を予想できない人だけが銀行で働き続ける。予想できる人は自分のファンドを立ち上げる。

さて、その人はドラッケンミラー氏に何故自分のファンドを立ち上げないのかと聞いたが、ドラッケンミラー氏は当時そんなお金はなかったのだという。彼はこう説明している。

銀行での年収はたった43,000ドルだった。ちなみにわたしの部下はもっと貰っていた。

株式調査部長となった当時のドラッケンミラー氏は20代半ばで、部下は一回り年上の人々ばかりだったからである。

20代のドラッケンミラー氏に自分のファンドを作るような金はなかった。そこでその人はこう言った。

君と話せるだけで月に10,000ドル払うよ。そうすれば自分でファンドを立ち上げて顧客を探せるだろう。

優れた金融家は人と話をするだけでお金を稼ぐことができる。キャバ嬢みたいだが、金額が違う。例えば100億円持っている人がドラッケンミラー氏の話を聞くことで自分の資産にとって1%のプラスになるなら、それだけで1億円儲かることになるからである。少し話しただけで1,000万円くらい出してくれても当然だろう。

ドラッケンミラー氏はこう思った。

この話を受けるべきだと思った。悩む余地がない。失敗しても同じような銀行の仕事をもう一度探せば良い。

これがわたしが自分のファンドを立ち上げた経緯だ。

結論

基本的に、資産運用業をしたい人が他人にお金を出してもらえるかどうかは、自分の語る経済見通しに興味を持ってもらえるかどうかにかかっている。

だから先ずはお金を集めることよりも自分の相場観を磨いて自分自身が資産家に興味を持ってもらえるようになる必要がある。それがファンドマネージャーへの第一歩である。

世界最大のヘッジファンドBridewater創業者のレイ・ダリオ氏も最初は自分の相場観を書いたレポートを売っていた。ダリオ氏の場合はお金を預かった最初の顧客が大物だったのだが。

ちなみにドラッケンミラー氏は自分にお金を払ってくれた人について、次のような後日談を語っている。

ちなみにその人物はドライスデール証券のジョー・オソリオで、その数年後にウォール街でも有数の派手な破産をして刑務所に放り込まれた。

25歳のドラッケンミラー氏を株式調査部長にした後すぐにクビになった彼の上司といい、ドラッケンミラー氏は変人に好かれるようだ。