ECB、量的緩和再開を決定、今後の相場の試金石に

9月12日、ECB(ヨーロッパ中央銀行)は金融政策決定会合を開き、既にマイナスとなっていた中銀預金金利を-0.4%から-0.5%に利下げし、量的緩和を再開することを決定した。量的緩和の規模は月額200億ユーロで、無期限の措置である。

発表を受けてユーロは下落した。以下はユーロドルのチャートである。

株式市場も発表後に上昇で反応している。以下はドイツの株価指数DAXのチャートである。

ただ、短期的な市場の動きは問題ではない。投資家にとって重要なのはその後である。

量的緩和相場のクライマックスか

ECBは2018年末に量的緩和を停止したが、9ヶ月で再開を余儀なくされた形となる。日本はアベノミクス以来量的緩和を続けている。あとはアメリカだけである。アメリカは量的緩和に入る前に2%の利下げ余地があるが、金融市場は既にその半分が来年末までに消費されることを織り込んでいる。

どうやら世界経済は緩和なしには景気後退に陥ってしまうらしい。投資家はアメリカの量的緩和再開を視野に入れ始めなければならないだろう。ただ、今回のECBの量的緩和は、日本やアメリカの投資家にとってアメリカが量的緩和を再開した時に市場と経済をどれだけ支えられるのかを知るための重要な試金石となる。

ECBの量的緩和は市場をどれくらい底上げ出来るだろうか。ユーロ圏経済の減速はそれで止まるのだろうか。

ECBの量的緩和がある程度利くとすれば、アメリカの量的緩和にも希望を持って良いだろう。しかし量的緩和は当初の威力を相当程度失ってしまっている。

量的緩和が利かなければ、世界経済は本当に上昇の手段を失ってしまったことになる。それは量的緩和相場と、金融政策によって経済を無理矢理支えてきた時代の終わりである。

だが、その前にECBの試みがどれほど効果を発揮するのかを見よう。普段はヨーロッパの経済や株式市場を見ない読者も、ここから数ヶ月は注意して見ておいた方が良いだろう。それは量的緩和相場の終わりがどういうものになるかを暗示するからである。ヨーロッパ経済についてはここでも逐次伝えてゆく。