ガンドラック氏: 株式市場は当然反発する

新型コロナウイルス肺炎が世界的流行となったことにより世界的な株安となっているが、債券投資家のジェフリー・ガンドラック氏が今後の相場動向について非常に面白いコメントをしている。

新型コロナ株安

周知の通り、新型ウィルスで株式市場が暴落している。以下はアメリカの株価指数だが、天井から30%以上の大幅下落となっている。

誰もが悲観的になるなか、悲観的になっていない人物がいる。ガンドラック氏である。投資家向けのウェブキャストで次のようにコメントしている。

先週末あたりから株式市場に関して以前よりも弱気にならなくなった。

実際、ガンドラック氏は株式市場に対して弱気だった。というか空売りしていた。最近彼はTwitterで次のように述べていた。

何年かで初めてのことになるが、今わたしは株の空売りをしていない。最後の3つの空売りを今日(訳注:3月18日)の午後2時37分に手仕舞った。利益があまりに大きかったので収穫せずにはいられなかった。市場のパニックは明らかだ。

この下落相場で資金を失った多くの投資家にとっては羨ましい話だろう。これほど急激な相場では、世界最大のヘッジファンドを運用するレイ・ダリオ氏でさえもその1人である。

原油とジャンク債

ガンドラック氏は市場のパニックの例として原油価格と社債市場を挙げている。

原油が今日20ドルまで下がった。社債市場がやられている。正式に「無秩序」と呼ぶべき相場だろう。

原油に関しては筆者も大きく同意する。20ドルの原油価格が長期的に維持されることはない。ロシアとサウジのチキンレースが行われており、これは遠からず終了する。

しかし社債市場はどうだろうか。新型ウィルスで欧米では多くの店舗や事務所が閉まっている。賃金や賃料などのコストは出ていく一方で、売上が上がらない企業が多数ある。米国のシェールオイル企業は損益分岐点を大幅に下回る原油価格で死に体である。

信用の低い企業の社債であるジャンク債のETFはかなりの暴落となっている。

危険なのはジャンク債であって財務の健全な優良企業は別だと言えるかもしれない。それでもジャンク債の金利が上がれば社債全体の金利上昇は避けられない。それでもガンドラック氏は株式と債券の両方に強気らしい。彼は次のように言っている。

たぶん多くの人は流動性(訳注:動かせる資金)を確保しておこうと思っているだろう。機会を待とうと思っているだろう。

株式市場は暴落したのは皆知っている。ジャンク債市場が暴落したのも皆知っている。市場は反発するだろうか? 当然反発する。

かなり強気の発言である。そして興味深いのはジャンク債市場を株式市場と並べていることである。

何故ならば、以下の記事で書いた通り資金繰りが怪しくなった零細企業の債券、つまりジャンク債こそが新型コロナ株安の一番の懸念材料だからである。新型コロナ株安が長期の下落相場に発展するとすれば、それはジャンク債崩壊が債務危機に繋がることである。

新型コロナの傷跡は残るか

1月から言い続けている通り、来年になれば新型ウィルスのことなど誰も覚えていない。だから実体経済に傷が残らなければ株価は回復するだろう。その傷とはこうした零細企業の破綻の可能性のことなのである。

しかもどうやらガンドラック氏は買いのタイミングが既に始まっているように話している。筆者は上記の記事で述べたようにウィルス流行のピークが株価の底だと考えている。そしてそれはもう少し先である。

読者にはわたしと彼の2通りの観点を提供しておきたい。判断するのはいつも自分自身なのである。