10月の日銀決定会合は追加緩和ではなく目標達成後ずれ容認か

以下のロイターの記事は結構重要な内容なのだが、巷ではあまり重要視されておらず、多くのアナリストらの話題もいまだ可能性のほとんどない追加緩和の有無の話ばかりである。

この記事によると、日銀は今回の会合で物価見通しを引き下げ、その結果2%のインフレ目標の達成が後ずれし、量的緩和の終了も延期されるというものである。ここでは日銀は量的緩和を終了することはできないと何度も書いてきたが、それを日銀が公式に認めることで市場へのリップサービスにしようということだろう。

追加緩和のできない日銀

日銀が追加緩和をしないと予測する理由については以下の記事で説明したので再度書くことはしない。しかし追加緩和はなくとも日銀にできることがあると示唆した点で上記のロイターの記事には価値があり、したがって投資家はその可能性も考慮してポジションを取るべきだということになる。

ドル円はどうなるか?

ドル円についてこれまで書いてきた相場観は、円は長期の売りであるが、日銀の追加緩和は米国の利上げが始まるまで行われず、短期的な上昇が見込めるわけではないというものであった。以下の記事では日銀の量的緩和が2016年3月まで、米国利上げなしの場合、ドル円の適正レートは125円であるとした。

この記事では1年の量的緩和延長でドル円は5円上昇すると計算している。延期自体は本来、日銀は量的緩和を終了できないと考えている投資家にとっては驚きでも何でもないが、市場はこれを織り込んでこなかったため、黒田総裁が公式にそれを認めれば、ドル円は上に動く可能性がある。

量的緩和が1年延長され、かつ米国の利上げが宣言通り行われる場合、ドル円は長期的には130円から135円を目指してゆくことになるだろう。利上げのない場合、それでも125円から130円が適正である。

円安はいつ起きるか?

このファンダメンタルズに市場がいつ気づき、ドル円がいつ上がるかということの予測は難しい。ドル円が100円前後で推移し続けたときも、ファンダメンタルズはそれより上を指していたのであり、円売りをしていた投資家は単にそれを待ち続けていたのである。

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今回の決定会合で黒田総裁がそれを指摘し、市場が長期の円安トレンドにようやく気付くというシナリオもあるだろう。今回黒田総裁が何も言わなければ、ドル円はもう少し120円近辺をうろうろするのかもしれない。いずれにせよ10月の追加緩和はない。ドル円については以下の記事も参考にしてほしい。

また、28日のFOMC会合にも注意したい。イベントの多い週である。