ガンドラック氏: ビットコインとコモディティは調整へ

引き続きYahoo! Financeによるジェフリー・ガンドラック氏のインタビューである。今回はビットコインなどの暗号通貨についてのガンドラック氏の意見を紹介する。

ビットコイン価格上昇の理由

ガンドラック氏はビットコインの価格上昇をどう見ているのだろうか。彼の暗号通貨に対する見方は政府の通貨発行権乱用に異議を唱える政治的なものではなく、冷静に相場における資金の流れを分析した金融家らしいものである。彼は次のように述べている。

ビットコインとその他の暗号通貨は明らかに投機の対象となっている。政府から給付された現金で人々が投機をしている。Gamestopの株式で行われたことと同じだ。多くの人々がこの愉快な現金で遊んでいる。

日本では昨年に1度だけ行われた現金給付だが、アメリカでは既に3度行われている。その資金の少なくとも一部は金融市場に注ぎ込まれているはずであり、例えばGamestop株を空売りしていた機関投資家が踏み上げにあった一件もガンドラック氏は現金給付が原因だと主張していた。

そしてその資金は暗号通貨の強気相場にも貢献しているだろう。

ビットコイン相場のこれまで

今年に入って多くの機関投資家が暗号通貨に注目しているが、ガンドラック氏はかなり前からビットコインをフォローしていた投資家の1人である。彼は自分のこれまでのビットコインの推移予想を振り返っている。

2020年の始め、ビットコインは本当に割安に見えた。なのでビットコインにかなり強気だった。ビットコインが4,000ドルの時、15,000ドルまで上がるだろうと主張した。

去年の夏頃まではわたしは馬鹿のように思われていたかもしれない。その時まだビットコインは5,000ドル近辺をうろうろしていたからだ。

しかしそうしている内にすぐに15,000ドルを超え、23,000ドルを超えたところでわたしはビットコインに中立になった。明らかに早すぎた。今の価格はその2倍、一時はその3倍まで上がった。ビットコインは兎に角急激に上下している。

ガンドラック氏はビットコインの本質的な価値を認めているわけではないが、それが投機の対象になると予想していた。当時としてはビットコインにかなり強気な投資家の1人だったが、ビットコイン価格はガンドラック氏の予想を超えて上昇していった。その理由は何だろうか。ガンドラック氏は次のように分析している。

これはすべて投機熱によるものだ。金融市場が加熱した時にはいつも看板になるような銘柄が生まれる。1999年のインターネットバブルの時には何の売上もないような、名前にドットコムが付いただけの銘柄がもてはやされた。今その「看板銘柄」は暗号通貨だろう。

ビットコイン相場の推移予想

看板銘柄としてのビットコインの上昇相場は、アメリカでの物価高騰を懸念した投資家が金属や穀物などのコモディティを買いに走っていることが背景にある。ソロス・ファンドのCIOも言っていたが、機関投資家は暗号通貨をコモディティの一種として認識している。

ではこれらコモディティバブルとその「看板」であるところの暗号通貨とは今後どうなるだろうか。ガンドラック氏は端的にこう語っている。

暗号通貨相場は天井を迎えた。この天井は恐らく一時的なものだろうが。

暗号通貨が短期的な急落を迎えるという予想が機関投資家の間で目立ってきた。同じく債券投資家のスコット・マイナード氏は先月同じ相場観を表明している。

そしてマイナード氏の予想は当たっているように見える。ビットコイン価格は次のように推移している。

これまでの上昇幅が大きい分、50%の下落はもうすぐ達成されてしまいそうである。

時価総額が2番目に大きいイーサリウムは次のように推移している。

また、ガンドラック氏はコモディティ全般についても強気の見方をしていたが、コモディティについても次のように述べている。

わたしはこれまでコモディティに非常に強気な見方を表明してきた。コモディティはここ1年ほど毎日のように上がっている。しかし行き過ぎたように見える。だから短期的に一旦停止するのではないかと思っている。

逆にドルは年末まで力強さを取り戻すのではないか。

コモディティも暗号通貨もここまでほとんど調整なしに上がってきた。いくらか調整がある方が健全だろう。