世界最大のヘッジファンド: 中国さえもリベラルほど左翼ではない

世界最大のヘッジファンドBridgewaterを運用するレイ・ダリオ氏がCNBCのインタビューに答えているので紹介したい。

親中ダリオ氏

ダリオ氏の親中ぶりは有名であり、ここで報じている通り中国に大きく投資もしている。恒大集団のデフォルト危機に端を発する中国の不動産バブル崩壊懸念についても「対処可能」だと主張し、しかもその後実際に中国株を買い増している様子が確認されている。

今回のインタビューでもダリオ氏は中国を擁護しており、北京五輪などを通じて米中の対立が高まる(理由はよく分からないが)なか、中国を擁護した。

中国は非常に成功している場所だ。1984年にわたしが最初に中国を訪れて以来、中国の1人当たりGDPは26倍になった。だから中国を理解しないこと、中国に偏見を持ったまま中国と接することには大きな害がある。

また、不動産業界やゲーム業界などへの規制強化に見られるように、中国共産党が自国の経済界を標的にしたような政策を行なっていることについては次のように述べた。

富の移転や共存共栄と呼ばれる政策について言えば、共存共栄的政策への動きは世界中で見られる。

そしてダリオ氏は同じような動きは西洋においても見られると主張した。ダリオ氏が以前述べていたように、増税と財政支出によって経済における政府の介入を増加させることはほとんど共産主義の定義そのものであり、世界中の先進国がその方向に向かっている。

それに耐えられなくなったのだろうか、面白いことにいつも客観的に経済の動きを分析し、政治的には公平であろうとするダリオ氏には珍しく、リベラル派へのあてこすりが見られた。彼は次のように述べている。

アメリカでリベラル(原文:progressives)と呼ばれている人々は中国の政策よりもよほど左翼的だ。

これはダリオ氏にはとても珍しいことである。アメリカ民主党が資産税にまで言及したことでリベラル派に対してダリオ氏も堪忍袋の緒が切れかけているのではないか。

リベラル派とは他人から税金を巻き上げて政治家に献上する奴隷のようなもので、政治家が脱炭素に莫大な予算を投じて世界に類を見ない巨大な利権を作り上げても何も言わないが、自分自身の努力と事業によって利益を上げた人が金を持っているのは我慢ならないのである。

中国になびくアメリカの成功者たち

ダリオ氏のように自国の政治を嫌うようになり、相対的に中国に甘くなるアメリカの成功者は多い。典型的なのはジム・ロジャーズ氏である。

しかしダリオ氏まで米国の政治を嫌ってシンガポールに移住したロジャーズ氏に似てきたというのは面白いことである。

アメリカ民主党が資産税を行なって得た資金で何を行おうとしているかと言えば、例えば脱炭素政策である。この脱炭素政策は化石燃料を無理矢理減らし、いわゆる再生可能エネルギーに強制的に移行させるもので、結果としてどうなったかと言えば、原油と天然ガスの価格が高騰して貧困層が冬を越せなくなっている。

馬鹿ではないのかと思う。脱炭素のような政策は共存共栄どころか集団自殺である。

結論

ダリオ氏やロジャーズ氏の中国好きに同調するわけではないが、中国を批判する西洋人が完全に見落としているのは、自分も同じことをやっているということである。

チベットや香港について批判されている中国人にしても、植民地政策で世界中で侵略行為を行なった西洋人に他国への態度や倫理について何も言われたくはないだろう。

一般の西洋人であればこのような詭弁で自分を騙せるかもしれないが、彼らのように馬鹿になることの出来ないダリオ氏やロジャーズ氏は、こうした西洋人の偽善が当然に嫌になるのである。だからダリオ氏は繰り返し、「偏見なく中国を見る」ことを推奨している。

こうした態度の一部はトランプ元大統領にも受け継がれた。元々一部の層にしか受けないと言われていたトランプ氏が2016年の大統領選で勝利したのにはそういう事情もある。

多くの西洋人が中国を批判する中、西洋の政治もなかなかに空中分解している。まともな国は世界に存在しないのだろうか。