ジム・ロジャーズ氏: 米国のロシア嫌いはオバマ政権によるウクライナ政権転覆が露呈して決まりが悪くなったから

著名投資家ジム・ロジャーズ氏が非常に面白いことを言っている。

現在アメリカでは選挙に負けた民主党とマスコミが協力してトランプ政権とロシアとの繋がりを疑い、トランプ大統領を批判している。

ヒラリー・クリントン氏を擁立し敗北した民主党は、大統領選挙以来、トランプ氏が勝利したのはロシアが選挙に介入したからだと主張し続けてきた。証拠は一切提出されていないが、民主党とリベラル系メディアはそう言い続けている。

最近ではこの騒ぎに関連してフリン大統領補佐官が辞任するという一幕があったが、フリン氏が行なったことと言えば、ロシアの大使と対露制裁について話をしたことだけである。しかし彼は辞任に追い込まれた。詳細は以下の記事を参考にしてほしい。

アメリカのロシア嫌い

アメリカの政治家やメディアがここまでロシア嫌いである理由について、ロジャーズ氏がMACRO Voicesのインタビュー(英語)で非常に興味深いことを言っている。

オバマ政権の時、われわれアメリカはウクライナで違法なクーデターを画策し、そしてそれが露呈した。あの国務省の女性の名前は確かヴィクトリア、何だったか、誰であれ、アメリカの国務省がウクライナで違法なクーデターを画策したが、ロシアの方が一枚上手だった。以来、国務省はロシア批判を始め、ロシアに対するネガティブキャンペーンは日に日に膨張してゆくばかりだ。

悪いことをして見つかってしまえば、出来ることと言えば相手に対する批判の声を上げ続けるくらいしかない。国務省はそうしたということだ。

女性とは国務省のヴィクトリア・ヌーランド元国務次官補のことである。

この人物は米国の駐ウクライナ大使との通話のなかで、複数のウクライナの政治家を政治の舞台から排除し、同時にヤツェニュク氏(その後ウクライナ首相に就任)をトップに据えることを決定したが、その通話がYoutubeにアップロードされた(BBC、原文英語)ことで計画が露呈した。恐らく日本ではほとんど報じられていないと思うが、メディアなどその程度のものである。

アメリカの政権転覆主義

ここの読者は覚えていると思うが、トランプ大統領は就任前に「トランプ政権は他国の政権転覆を辞める」と言っていた。

彼の言うアメリカが画策した政権転覆と言うのは、リビアやイラク、シリアなどの例のほかに、当然今回言及したウクライナが入ってくるわけである。トランプ大統領はこれを辞めると言っている。彼をロシア絡みで批判している人々がウクライナで何をしたかを思い出す必要がある。

しかし民主党とメディアの戦略はトランプ大統領に対して一定の効果を上げているらしい。記者会見(原文英語)でロシアについて何度も執拗に問い詰められ、疲弊したトランプ大統領はやっとのことでこう言った。

メディアは明日にでも「ドナルド・トランプはロシアと仲良くしたいらしい。酷いことだ」とでも言うだろう。しかしロシアと上手くやってゆくことは酷いことではない。良いことだ。(中略)ロシアに対して強硬姿勢を示す方がわたし個人にとってはよほど簡単だ。分かるだろう? しかしわたしはアメリカ国民にとって正しいことをしたいのだ。そして第二に、正直に言うならば、世界にとって正しいことをしたいのだ。

ここまで書けば、現在アメリカでトランプ大統領に必死で抵抗している勢力がどういう連中か、読者にもお分かりだろう。

ここまで考えた上でトランプ大統領の発言を見返してみると、よくこんなまともな人物がアメリカの大統領になったものだと思う。それでも彼はアメリカ内部で激しい抵抗に遭っており、彼が何処まで意志を通すことが出来るかは不明瞭だが、しかし見守ってゆきたいと思う。政治とは醜いものである。