トランプ大統領のDrain the swampはもう始まっている

トランプ大統領が連日アメリカのメディアに叩かれている。ロシア大使と話をしたことで辞任させられたフリン元大統領補佐官のことに始まり、メディアを通して見ればトランプ政権は機能していないように見える。

しかしこれらはすべて、大統領選挙の時から使い古されているトランプ大統領の対メディア戦略の過程に過ぎない。大手メディアはいまだにトランプ大統領の術中に嵌っているのである。

Drain the swamp

トランプ大統領のスローガンと言えばMake America great again(アメリカを再び偉大にする)だが、選挙中に用いられていたもう一つのスローガンがある。Drain the swamp(腐敗を一掃する)である。

大統領選挙ではトランプ氏が政治献金にまみれたヒラリー・クリントン氏に勝利したが、読者にも周知の通り、政治献金をしていた大企業と結託したメディアはクリントン氏を一方的に支持していた。グローバル企業のサポートがなければ、そもそもクリントン氏は民主党の大統領候補にもなれなかったのである。

そのメディアに対するDrain the swampは既に始まっている。トランプ大統領は2月18日のフロリダにおける集会(英語)で以下のように演説した。

メディアは問題の根源であり、政治の腐敗の一部だ。トマス・ジェファソン、アンドリュー・ジャクソン、エイブラハム・リンカーンなどの偉大なアメリカ大統領の多くはしばしばメディアの嘘を批判した。

メディアが嘘を付く時、絶対にその嘘を野放しにしないと約束する。彼らの嘘を野放しにしないためならば何でもしよう。メディアにはメディアの目的がある。そしてその目的は、アメリカ国民のためのものではない。

そしてより重要なのは以下の箇所である。

メディアは嘘と歪曲を使っても、予備選挙と大統領選挙で勝つことは出来なかった。メディアがどういうものかということをこれから暴いてゆく。そしてより重要なことだが、私達はこれからも勝ち続けるということだ。

アメリカ国民が何をすべきで、どう生きるべきで、何を信じるべきかということをフェイクニュースに指図させてはならない。私達は自由で自立した人民であり、自分自身の選択を行なってゆくのだ。

「メディアがどういうものかをこれから暴いてゆく」とトランプ氏は言っている。そしてそれはもう始まっている。それは一連のロシア絡みの騒動に見て取ることが出来る。

メディアは何故ロシア嫌いなのか?

フリン元大統領補佐官はロシア大使と対露制裁について話し合っただけで辞任させられた。

メディアはロシアとの対話を当然のように批判しているが、アメリカの有権者はフリン氏の行動の何が悪かったのか理解出来ないだろう。わたしも理解出来なかったため、メディアの主張を何度も読んで何とか彼らの主張を理解しようと努めたほどである。

そうしているうちに、アメリカ国民はメディアが何故それほどにロシアを叩いているのか疑問に思い始める。そして何が起こるか? そういう場面でジム・ロジャーズ氏のような人が出てきて、本当のことを言ってしまうのである。

こうしてアメリカの政治の内部が表舞台に晒されてゆく。著名投資家のロジャーズ氏も、メディアのロシア嫌いが話題に登らなければ、わざわざこういうことを話題に出すこともなかっただろう。しかしメディアは自分のロシアアレルギーを爆発させてしまった。そして有権者に疑問を抱かせてしまったのである。そうしてアメリカ国民は政治の舞台で行われていることを徐々に理解してゆくのである。

このようにしてトランプ大統領のDrain the swampは着実に実行されてゆく。トランプ氏はメディアに自分を叩かせることで、アメリカ国民がメディアの矛盾に気付くように仕向けてきた。彼の戦略は選挙の頃から一貫している。

メディアは大統領選挙を終えて尚、トランプ氏の術中に嵌っているのである。わたしのようなメディア戦略の素人にとっては、トランプ氏の戦略は本当に驚嘆すべき出来である。それはほとんど恐ろしい程である。