米国、量的緩和の無制限化を発表も米国株は下落

米国時間3月23日、アメリカの中央銀行であるFed(連邦準備制度)は国債などの債券を買い入れる量的緩和における債券の買い入れ額の限度を撤廃することを発表した。

米国株は下落

これを受けて米国株はどうなったかと言えば、また下落した。

新型コロナウィルス肺炎の世界的流行により株式市場が暴落していることを受けた措置だったが、これまでの追加緩和と同じく株安を救うことはできなかったようだ。

理由については既に説明している。

ちなみにこの動きは株式市場の今後の動向にとってはプラスである。株価が金融緩和ではなく感染者数の増加と店舗閉鎖などの隔離措置に反応していることを証明する動きだからであり、それは感染者数が減少に転じると株式相場は反転で反応する可能性があることを示しているからである。

欧州株と日本株

また、ここ数日米国株よりも欧州株や日本株の方がパフォーマンスが良いこともその可能性を示唆している。以下はドイツの株価指数DAXのチャートである。

下落が続いている米国株とは違い、数日横ばいになっている。

また、日経平均も同じような動きとなっている。

こういう相場では市場の少しの反応とその意味するところを慎重に検証してゆくことが重要である。欧州株と日本株が米国株よりも強いのは、流行拡大が進みこれから本格的な隔離措置を行うアメリカと違い、ヨーロッパでは外出禁止などの措置が既に効果を現し始めていること、逆に日本ではそうした隔離措置が計画されていないことを反映していると言える。つまり、金融緩和で反発しない新型コロナ株安もウィルスの流行状況次第では上にも下にも行く可能性を示している。

この仮説が正しければやはり重要なのはヨーロッパとアメリカにおける感染者数の動向だろう。レイ・ダリオ氏の慧眼をもう一度引用しよう。

一般的にはこうした一生に一度のレベルの災害はまず最初に過小評価され、そして状況が進むにつれて過大評価される。そしていずれファンダメンタルズが逆回転し始める(例えばウィルス感染が拡大から縮小になる)。

だから注意を向けなければならないのは何が実際に起っているのか、人々が何を信じていて何が資産価格に織り込まれているのか、そして状況の反転を示唆する指標である。

そしてヨーロッパでは既に転換点を迎えようとしている。

非常に面白い相場になってきた。ここから1週間は投資家の腕の見せ所となるだろう。