メルケル首相、移民政策がテロリスト入国を助けたことを認める

あまりに遅い、そしてパリやブリュッセルのテロ事件であまりに大勢の人々が亡くなってからこのような発言をするのは犯罪的ですらある。

ロイターによれば、7月11日、メルケル首相は党の集会で「シリアから欧州に到着した難民と共に、過激派組織のメンバーが域内に流入した」ことを認めた。

これはメルケル氏が認めるまでもなく報道されていた事実である。パリ同時多発テロの実行犯のうち2人はギリシャで難民申請を行った正真正銘の難民であった(産経)。

これまで移民政策を推進してきたドイツが今頃になってこれを認めたという報道だが、評価をするどころかむしろ憤りを覚える。わたしはテロ事件が起こる以前から移民政策の危険性を指摘し続けてきた。以下は2015年10月、パリ同時多発テロ事件の1ヶ月前に書いた記事である。ドイツは何故今頃にならなければそれを認められないのか。

このようなことを続けていれば、経済的にも文化的にもヨーロッパは破綻する。移民については、シリア難民を自称する人々の3割は実はシリア人ですらないという報道や、ISISの戦闘員が難民に紛れ込んでいるという報道もある。

中東からの移民には「多くの善良な難民のほかに少しの悪人が紛れ込んでいる」のではない。かなりの程度が難民となる必要のない経済移民によって乱用され、そして更に悪いことにテロリストの集団にも積極的に利用されたのである。

ドイツがこのようなことを行ったのは難民のためではない。ドイツのガブリエル副首相の発言を再度引用しよう。

われわれのところにやって来る人々を早急に訓練し、仕事に就かせることができれば、熟練労働者の不足という、わが国経済の未来にとって最大の課題の1つが解決するだろう

ドイツは自分の経済的メリットのために動いたのである。失業率が低く、人材が不足しているドイツの経済界はそれで良いかもしれないが、では高い失業率に悩み、そもそも自国民でさえまともに生活出来ていないユーロ圏の諸国はどうなるのか? 雇用が足りていない南欧諸国の状況は難民政策で更に悪化する。ドイツは自国の利益しか考えていないのである。

しかも被害はドイツ国外だけではない。ドイツ国内においても、そうした目先の経済的利益しか考えない移民政策の結果、ケルンなど各地で現地の女性が移民によって性的暴行を受けたのである。1,000人もの移民が夜通し女性を襲った大晦日の例はただの一例であり、その後もダルムシュタットなどで同様の性的暴行事件が報告されている(AFP)。

何故このような無茶苦茶がまかり通るのか? 自国の女性の安全は経済的利益よりも劣るというのか? このような政策が当然のように行われるのは、政治家がグローバル企業と癒着しているからである。国境を廃したグローバルな統合は安い労働力を得たいグローバル企業には経済的なメリットとなる。

だからユニクロの柳井氏などが「グローバルに生きていくという日本が、国際協力の中で難民問題に取り組まなくてはならないのは当たり前だ」(産経)などと言いながら、安い労働力を雇いたいという本音を言わず、移民に賛成しているのである。彼はパリのテロ事件や性的暴行の被害者、遺族の前で同じことが言えるのだろうか。恐ろしいほどの利己主義である。

ヨーロッパは経済的利権とイデオロギーの入り乱れる地獄となっている。このようなヨーロッパの混乱を見てイギリスはEUから早々と立ち去る結論を出した。EU離脱派のボリス・ジョンソン氏は、イギリスがEU離脱によって「節度と常識の声としてヨーロッパの救世主となり、目の前で繰り広げられる無秩序を止める」と主張していた。「節度と常識」「無秩序を止める」などの言葉は、こうしてヨーロッパの状況を詳述すればより理解の出来るものだろう。

そして最後に言っておきたいのだが、何よりも愚かなのは、ヨーロッパでメルケル首相でさえ認めた移民政策の失敗を、日本では自民党が現在進行形で推進しているという事実である。多くの人は知らないかもしれないが、自民党は移民政策推進派である。だがこの事実はほとんどのメディアでは報道されていない。

しかし上で述べたような柳井氏ら経済界の利権との癒着は日本においてより酷く、しかもこれまでヨーロッパの混乱とは無関係であった日本国民は、移民政策の危険性を身をもって知っていないため、移民政策に対してヨーロッパほどの政治的抵抗がない。

しかし何度でも言うが、身を持って知ってからでは遅いのである。パリ同時多発テロよりも以前からヨーロッパの移民政策の危険性に警鐘を鳴らし続けていたわたしの声をどうか聞いてほしい。イギリスのEU離脱のあと、海外では移民政策に対して慎重になる意見が大勢を占めてきており、政治家たちは日本人が同じように気付く前に移民政策を実行してしまおうとしている。

だからどうか上記の記事だけは出来るだけ多くの人に広めてもらいたいのである。ヨーロッパでは大勢の集まるイベントを訪れる時には常にテロの危険を考えなければならないような状況になっている。日本が同じ状況になってからでは遅いのである。