ガンドラック氏: インフレ率は来年半ばまでに4.5%まで下がる

DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏がCNBCのインタビューで月初のFOMC会合について触れ、今後のアメリカのインフレ動向について語っている。

FOMC会合結果

アメリカでは11月1日から2日にかけてFOMC会合が行われ、0.75%の利上げが行われたと同時に今後の利上げ方針が示唆された。

FOMC会合の結果が発表されるまでは勝手に盛り上がっていた株式市場は、筆者の考えでは当たり前の結果を受けて勝手に下落した。

だがかねてよりFed(連邦準備制度)が引き締めをやり過ぎる可能性を警告していたガンドラック氏にとっても、この結果は少々困惑だったようだ。彼は次のように述べている。

パウエル氏はいわば矛盾していた。「これまで既にかなり引き締めた」と言ってハト派であるかのように見えたかと思えば、「金利はこれまで考えていたよりも高くなる」と突然言い始めた。

だがガンドラック氏は少なくともこれまでのFedの引き締めには満足しているらしい。彼は次のように言っている。

5月にはわたしはFedに非常に批判的だった。利上げは債券市場の織り込みよりかなり遅れており、半ば冗談で「2%利上げを行なってから様子を見るべき」と言った。

だが結局彼らはそれに近いことをやった。Fedは周回遅れだったが今や債券市場の織り込みとほとんど同じところに居る。

そしてガンドラック氏は、パウエル議長が12月の利上げ減速を示唆したことにも満足しているらしい。

サマーズ氏 vs ガンドラック氏

だがこれまでインフレを警告してきた人物の中で、利上げ減速を喜ばなかった人物がいる。経済学者のラリー・サマーズ氏である。

ガンドラック氏はインタビューでサマーズ氏のタカ派な意見についてどう思うかと聞かれ、次のように答えている。

5月、6月にはわたしはサマーズ氏の考えと同じだった。だが彼は1つのことを見逃していると思う。何故ならば、彼は量的引き締めについて話していない。

量的引き締めも経済に影響を与える。2018年12月、Fedは利上げと量的引き締めの両方を自動操縦で行ない、すぐに撤回せざるを得なくなった。サマーズ氏はその事実を見逃している。

現在、Fedは2018年の世界同時株安を引き起こした量的引き締めを当時の2倍の規模で行なっている。

勿論それは影響を持つ。だが筆者の意見はガンドラック氏とは少し違う。筆者の意見は、量的引き締めは株式市場にダメージを与えるが、インフレ率に対しては限られた影響しか持たないというものである。

事実、2018年に量的引き締めは株価急落を引き起こしたがインフレ率には影響を与えなかった。

逆にリーマンショック後何年も行われてきた量的緩和は株式市場をバブルにはしたがインフレには影響を与えなかった。

だから量的引き締めがインフレ率を下げてくれるというのは、筆者の意見ではやや希望的観測だろう。

2023年のインフレ率動向

また、ガンドラック氏は来年のインフレ率についても予想をしている。彼は次のように述べている。

Fedを利上げ強硬派に押しやったインフレの急上昇は、元々今年の序盤のCPIデータがきっかけだった。そのせいで穏やかな利上げ予想だったものが急激な利上げ予想に変わった。

もう一度アメリカのインフレ率のチャートを掲載しよう。アメリカのインフレ率は今年の初めに8%台に達してから、その後横ばいを続けている。

しかしそれはつまり、インフレ率を前年同月比で(低かった去年の数字と)比べている限り上昇率は大きくなるが、来年には高い今年の数字と比べるようになるため、前年同月比の数字も落ち着いてくるとガンドラック氏は主張している。彼は次のように言っている。

しかし、それは同時にこうした数字がそろそろ剥がれ落ちてくることを意味する。

更には原油価格など金融市場で取引されているコモディティの価格や、最近では住宅市場もピーク超えの気配を見せ始めている。

だからインフレ率が8%台から徐々に下がってくるというのはガンドラック氏でなくとも予想するところだろう。問題は、何処まで下がってくるかである。

ガンドラック氏はその点について次のように予想している。

インフレ率は来年下落してくる。今年の終わりには7%近辺になっているだろうし、コモディティ市場次第では変わるかもしれないが、5月には恐らく4.5%以下まで下落しているのがメインシナリオだろう。

なかなか大幅なインフレ率の下落ではないか。金利先物市場の織り込みによれば政策金利は5%以上まで上がるそうだから、ガンドラック氏がそれをやり過ぎと見るのは、インフレ率のこうした予想値が背景にあるのだろう。

結論

実際にはインフレ率は何処まで下がるだろうか。そろそろ10月分のインフレ率のデータも発表される。

だが株式投資家にとって状況はそれほど難しくない。インフレ率が4%台まで下がることはあっても、3%やましては2%まで下がることはないだろう。その点についてはサマーズ氏の分析は参考になる。

だから来年の金利は4%が恐らく底である。そしてアメリカの金融市場がそれほどの高金利を継続的に経験したことはもう長らく無いのである。

その影響は一部ハイテク株などの決算に出始めている。今後の展開を楽しみに待ちたい。