サマーズ氏: 住宅価格が下落してもCPIの上昇は続く

アメリカの元財務長官で経済学者のラリー・サマーズ氏が住宅価格とインフレについて語っている。

下落開始した住宅価格

アメリカの住宅価格が下落している。

元々下落していた原油価格に続いて、住宅市場にも金融引き締めが効き始めたということだろう。

あとは金融政策が一番効きにくい賃金インフレだけだ、と言いたいところだが、サマーズ氏によれば住宅インフレもまだ終わっていない。彼はこう言う。

住宅価格については、物価を計測するとき、人々が実際に支払う、あるいは支払われる価格で物価を考えるべきなのか、それとも最新の価格で考えるべきなのかという問題がある。

どういうことか。サマーズ氏は次のように説明する。

毎月、ほとんどの人々は前月と同じ賃料を支払う。一方で一部の人だけが新たな賃貸契約を行う。

2021年から2022年の初めまで、新たな賃貸契約の値段は明らかに15%上昇していたが、ほとんどの人はまだ契約更新をしていなかった。

この状況でインフレ率とはどう計算すべきものか?

インフレ率は要するに契約更新されるまで「時価」である高値にはならないのである。

だが今や2022年末であり、住宅市場の最新の価格もようやく下がり始めた。しかしサマーズ氏によれば、それでもCPIはまだまだ下がらないようだ。

これの意味するところは、新規契約の価格の上昇が止まった後も、CPIはかなりの長期間上昇を続けることになるということだ。

仮に新規契約の価格が今から2023年の終わりまで年率2%の上昇になるとしても、CPIの住宅の項目は6%か7%になるだろう。

それはインフレ全体にどういう影響を及ぼすのか。サマーズ氏は次のように言う。

更には、他の項目のインフレがゼロだったとしても、それだけでコアCPIは2.5%か3%の上昇になる。

インフレ率が来年には2%に戻るというFed(連邦準備制度)の予想がどれだけ無理かということである。

結論

住宅価格の下落が始まっても、インフレは当分高止まりしなければならないようである。

サマーズ氏の住宅価格の話はここまでだ。そして彼はそこから賃金インフレの話を始めるのだが、その話始めを聞くと人は絶望的な気持ちになるかもしれない。

ほとんどの人々は今月、先月と同じ給料を受け取る。

もう後の話は想像できるだろう。投資家は金利が高止まりする世界を受け入れなければならないらしい。