ガンドラック氏: 来年の景気後退に向けてアメリカの金利は低下する

引き続き、DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏のCNBCによるインタビューである。今回は米国の金利見通しについて語っている部分を紹介したい。

米国債の問題

前回までの記事では、ガンドラック氏はアメリカの莫大な政府債務の問題がついに深刻なものになっていることについて語っていた。

インフレ対策の高金利のために莫大な政府債務に対する利払いが増え、借金への利払いが更なる借金の原因となっている。

借金まみれになった米国政府によって米国債は大量発行される一方で、これまで買い支えていたFed(連邦準備制度)が保有量をむしろ減らしているため、米国債は需要と供給が破綻して急落していた。債券にとって価格低下は金利上昇を意味するので、金利が高騰していたのである。

ガンドラック氏の金利見通し

だが最近の雇用統計とFedのFOMC会合を受け、金利はやや下がった。雇用統計は明らかに景気の悪化を示しており、パウエル議長も更なる利上げを強くは主張しなかったからである。

ガンドラック氏はこの金利低下(債券価格上昇)の動きを次のように分析している。

債券市場の上げ相場が始まったと思う。Fedが正しい姿勢を表明したので債券価格が急上昇した。景気後退のある来年前半に向けて金利は下がっていくだろう。

高金利がついに反転する時期が来ているのだろうか。いつものことだが、Fedはまず金利を上げるが、利上げは行き過ぎ、景気が後退し、Fedは利下げ転換せざるを得なくなる。

ガンドラック氏の根拠は第一に失業率である。彼は次のように言う。

失業率はまだ低いが、明らかに上昇トレンドで、12ヶ月移動平均線を上回っており、来年前半には3年移動平均線を超えるという非常に景気後退的な状態になるだろう。

失業率がついに上がり始めている。失業率は次のように推移している。

インフレ率はどうなるか。ガンドラック氏は次のように述べている。

比較的安定している最近のコモディティやエネルギーの価格水準を前提にすれば、われわれのインフレモデルでは全体のインフレ率はここから下がる可能性が高いと出ている。

インフレ率は急落後に足踏みしているが、ガンドラック氏は下落継続を予想している。

ガンドラック氏は次のように続け、金利の見通しを予想している。

来年の春か初夏にはインフレ率は2.5%程度に下がるはずだ。落ち着いてきたインフレと経済減速を背景に金利は下がるだろう。

結論

ガンドラック氏は金利の低下を予想している。だがガンドラック氏の予想には問題がある。彼は国債の大量発行による米国債下落を甘く見ていたふしがあるからである。

彼は少し前から金利低下を主張していたが、長期金利はそれから上昇している。一方で筆者はガンドラック氏と同じくそろそろ金利が天井だと予想してはいたが、国債の需給問題の影響を大きく受ける長期金利よりも政策金利の見通しに影響される短期金利の低下に賭ける方が安全だとしてきた。

筆者よりも更に米国債の買い手不足の問題を深刻に取ったのがスタンレー・ドラッケンミラー氏で、短期金利の低下に賭ける一方で長期金利の上昇にも賭けている。

ガンドラック氏もドラッケンミラー氏もともに景気後退を予想しているが、長期金利に関する見通しが逆となっている。インタビューではドラッケンミラー氏との違いについて質問され、ガンドラック氏は次のように答えている。

すべての期間で金利は低下すると思う。短期金利のパフォーマンスが良くなり、長期側はそれほど大幅な金利低下にはならないかもしれないが。

長期側に多少自信がなくなってきたのだろうか。筆者のスタンスは、短期側の低下は明らかなのでそれだけに賭けておけば良い、というものだが、読者はどう考えるだろうか。